国土交通省 国土交通白書:脱炭素への取り組みに求められる付加価値 快適、健康、安全・安心がキーワードに
白書を読み解く(前編)
脱炭素に向けた取り組みが強く求められているが、個人の暮らしや生活の質に与える影響について人々の意識は分かれている。社会的意義を超えた価値の創出が重要となっている。
国が「2050年カーボンニュートラル」を打ち出し、大きく脱炭素に向けた動きが加速している。産業界や各企業は言うまでもなく、国民全体での取り組みが強く求められている。
国土交通省が行った「脱炭素に関する国民の意識調査」によると、脱炭素型ライフスタイルのために取り組んでいる項目は、エネルギー節約行動や消費財の長期使用、宅配の再配達の防止などの取り組み率が高い。
住まい方については、エコ住宅への住み替え、再生可能エネルギーの利用などに比べ、LED照明の利用やヒートポンプなどの効率的な設備利用についての取り組み率が高い。一方、今後の取り組み意向をみると、エコ住宅の住み替えや再生可能エネルギーの利用、電気自動車の買い替えなどの項目が高くなっている。(図1)
一方で、脱炭素型ライフスタイルに十分に取り組めていない理由は、4人に1人以上が「お金がかかるから」と回答、費用が課題となっている。脱炭素型ライフスタイルを取り入れるためには「価格が安いこと」、次いで「生活の不便さを伴わないこと」、「二酸化炭素削減以外の付加価値があること(快適、健康、安全・安心など)」となっており、生活の利便性維持とともに付加価値の創出が重要となっている。
同調査によると、脱炭素に向けた取り組みを3人に1人が実施しており、「地球温暖化は人の活動によるものであり、私自身も脱炭素に向けた取り組みを実践しなければならない」との考え方に約6割が賛同している。
しかし、その一方で、「脱炭素に向けた取り組みは、暮らしを豊かにする」との考え方への賛同は40%、賛同しないも40%。「脱炭素に向けた取り組みは、暮らしを不便にする」には37%が賛同、45%が賛同しない。脱炭素に向けた取り組みが個人の暮らしや生活の質に与える影響について、人々の意識は分かれている。
国土交通白書では、「今後、脱炭素化と同時に、二酸化炭素排出削減以外の付加価値が創出されることにより、生活の質の向上と活力ある地域社会の実現を図ることが重要」と指摘している。
イラストで描く気候変動時代の暮らし・まち
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