2022.9.12

国交省が令和4年度の予算概算要求まとめる

共同住宅版LCCM創設、フラット35は省エネ基準を必須要件に

国交省は建築物のカーボンニュートラルに対する取り組みにさらに注力する。令和5年度には共同住宅のLCCMへの支援を創設、フラット35で省エネ基準への適合の要件化などを行う。

国土交通省が令和5年度概算要求をまとめた。大きな柱の一つが「住宅・建築物におけるカーボンニュートラルの実現」。2030年度温室効果ガス46%削減に向けて、引き続き住宅・建築物分野の省エネ対策の強化、木材利用の促進に力を入れる。

新築住宅に対する省エネ対策で新たに打ち出されたのは「共同住宅版のLCCM住宅整備への支援」と「フラット35における省エネ基準適合の融資要件化」の2つだ。

「共同住宅版LCCM」は、これまでの「LCCM住宅整備推進事業」を拡充するもの。現行制度では戸建住宅のみが対象となっている。この支援の対象に共同住宅を追加する。対象となる共同住宅の要件や補助率・補助額などは未定だが、戸建て住宅に比べて脱炭素化が遅れている共同住宅についても、支援を通じてその広がりを加速させる。

フラット35の省エネ基準への適合は、2023年4月からフラット35の融資対象となるすべての新築住宅において、省エネ性能に関する技術基準について省エネ基準(断熱等級4かつ一次エネ等級4)への適合を必須とするもの。フラット35Sについては今年の10月から制度の見直しが行われるが、加えてフラット35も省エネ基準への適合が求められる。

既存住宅に対しては、地域の関係団体が連携して行う省エネリフォームへの重点支援を行う。省エネ診断、省エネ設計等、省エネ改修(建替えを含む)に対し交付金及び直接補助を行う「住宅エコリフォーム推進事業」を拡充するもので、既存住宅の省エネ改修を加速させる。

一方、木材利用についても引き続き力を入れる。

また、「優良木造建築物等整備推進事業」を拡充、炭素貯蔵効果が期待できる木造の中高層住宅・非住宅建築物のうち優良なプロジェクトを引き続き支援するとともに、建築物の木造化に関する比較検討への支援も行う。現在の制度は木造化のプロジェクトを動かす際に支援するものであるが、その一歩手前の、木造化を迷っている、または木造化への関心がないユーザーをターゲットにする。木造とRCのコスト比較の情報提供などを通じ木造化へ誘導する。制度の詳細は今後詰めるが、建築事務所などが制度を活用してユーザーに提案するスキームなどがイメージされている。