木材サプライチェーン構築への挑戦
国産材活用は拡大するのか?デジタルの力で需給情報をつなぐ
ウッドショック、ウクライナ危機などで、木材価格が高騰、不足する事態が続き、国産材活用への注目度が高まっている。
第2、第3のウッドショックに備え、外的要因に左右されにくい、木材のサプライチェーンを構築しようとする動きは今後、活発化していくだろう。
木材の安定確保に向け、デジタルの力を駆使して需給情報をつなぎ、国内で完結する木材サプライチェーン構築への挑戦が始まっている。
ここにきて日本最大級の木材物流基地である東京木材埠頭の外材の在庫量は大幅な増加傾向にあり、価格も下落局面に入りつつある。木材商社もプレカット工場も、昨年からウッドショックで木材が不足して大変な目にあってきた。さらに2022年2月には、ロシアのウクライナ侵攻により、さらにウッドショックが深刻化するのではないかという不安感が広がるなかで、積極的に木材を買おうとする傾向が強まった。その結果、東京木材埠頭の輸入材の在庫量は増加。一方で、資材価格高騰に伴う住宅価格上昇の影響で、持ち家を中心に新設住宅着工が減少する中、木材の買い控えが進み、今後、木材価格の下落局面に入ることは避けられない見通しだ。先の林野庁の中央需給情報連絡会議においても、「米国・欧州材は現地での需要減で価格の下落傾向が続き、国産材もつられて動くと予想」という声が聞かれた。
地域工務店を中心に住宅事業者の多くは、ウッドショックで木材調達の危機に瀕し、国産材シフトを模索してきたが、ここにきて外材供給復活の兆しが見え始める中で、外材に戻りつつあるのが現状のようだ。
福島県に拠点を置く協和木材は、ウッドショックが起こる前から国産材を推進し、原木の伐採から手掛け、丸太を加工し、製材、集成材、2×4材などを製造し販売を強化してきた。同社の担当者は、「ウッドショックが起こり、住宅事業者から国産材を供給してほしいという要望が相次いだ。安定的に木材を確保するために既存の顧客を優先しつつ、新規顧客への供給体制の整備を進めてきたが、2022年に入り、外材がだぶつき始め、価格が下落局面に入ると、きびすを返すように外材に戻り、『国産材の話はなかったことに』という住宅事業者は少なくない」と困惑気味に話す。
「のど元過ぎれば熱さを忘れる」という言葉通りの動きだが、果たして第2、第3のウッドショックのリスクを、きびすを返して外材に戻る住宅事業者はどう考えているのだろうか。
NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワークの遠藤日雄 理事長は、「残念ながら、現在の日本は、国力が衰退する中で、円安が進み、かつてのように外材を簡単に調達できる状況にはない。環太平洋という視点の中で、日本は蚊帳の外に置かれ、外国産地から足元を見られている」と指摘する。
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