頼りになるパートナーを見つけよう ポイントは価値観の共有

「あんこ」はNG

だいぶ前に中部地方のある製材所を訪れた際、製品を出荷するにあたってどのような品質管理を行っているかという話を聞かされたことがある。

説明してくれた担当役員によると、その工場では梱包した材料のすべてが使えるように品質をそろえて出荷しているという。もちろん、自然素材である木材はひとつとして同じものはないので、厳密に言えば多少のバラつきがあるにせよ、使用上、問題のない範囲で品質をそろえるというのである。「それが当たり前でしょう」とその役員は胸を張った。

聞けば、彼は以前、精密機器メーカーに勤めていたことがあり、品質のばらつきなどもってのほかという環境で仕事をしていた。ところが、木材業界に転職してみると、多少のバラつきどころか、明らかに品質が劣るものまで同じ梱包の中に忍ばせているケースが少なからず見られ、非常に驚いたという。

「忍ばせる」というのは、製品を梱包する際に表側には材面がきれいで品質も安定したものを配置し、材面が確認しづらい内側には少々難ありの製品を配置するという梱包の仕方である。こうなると自然素材だから云々の言い訳は通用しない。「あんこ」という隠語まであり、こんな悪質なやり口がまかり通っているようでは木材はいつまで経っても信頼して使ってもらえない、だからウチは品質には特に気を遣って製品を梱包している、そのために売れ行きは非常に良いのだと、その役員は話してくれた。

品質を管理する意志が重要

求められる品質に応じて材料を選び出す

こうしたケースは残念ながら今もないとは言えない。確信犯的にあんこを仕立てるということまではしなくても、それほど品質に気を遣わずに梱包を仕立てた結果、悪いものも多少混じってしまったというケースもある。


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