2022.7.11

フラット35S ZEHの基準まとまる

ZEHへの金利優遇が10月にスタート

今年10月から(独)住宅金融支援機構の【フラット35】Sの基準が大きく変わる。なかでも注目されるのが【フラット35】S(ZEH)の開始であり、先に、その技術基準が明らかになった。


【フラット35】Sの基準見直しは、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを強化することが大きな目的で、特に省エネルギー性に関する基準を見直した。これまで【フラット35】Sの基準は、新築住宅、中古住宅ともに金利Aプラン、金利Bプランからなり、大きく省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性の4つの項目について性能の基準が定められていた。金利Aプランの方が高い性能が求められ、金利下げ幅はともに年▲0.25%と同じだか、金利下げ期間は金利Aプランが当初10年、金利Bプランが当初5年とされていた。

10月以降の設計検査申請分から導入される新たな基準は、金利Aプラン、Bプランにともに省エネルギー性能の基準が強化され、加えて上位区分として「ZEH」が設けられる。新築住宅の基準は、金利Bプランが断熱等性能等級4と一次エネルギー等級6、もしくは断熱等性能等級5と一次エネルギー等級4または5。金利Aプランが断熱等性能等級5と一次エネルギー等級6。そして、ZEHが「ZEH等住宅」とされた。

なお、金利引き下げについては、金利A、Bプランは変わらず、ZEHは当初5年間が▲0.5%、6~10年目が▲0.25%とインセンティブが高い。

断熱等性能等級5
再エネなしで一次エネ▲20%以上

10月以降の借入申込受付分から導入される【フラット35】S(ZEH)。ZEHまたはZEH−M以外のNeary ZEH、ZEH Oriented、ZEH−M Readyなど、どの区分のZEHでも、寒冷地や階層和などの適用条件を満たす場合は制度を利用することができる。

戸建て住宅は「ZEH」、「Neary ZEH」、「ZEH Oriented」の3区分に分けられる。いずれも断熱等性能は強化外皮基準(断熱等性能等級5)。一次エネルギー消費量(対省エネ基準)は、いずれも再エネを除いて▲20%以上、再エネを含む場合はZEHが▲100%以上、Nearly ZEHが▲75%以上▲100%未満とされた。

一方、マンション(一戸建て以外=共同建て、重ね建てまたは連続建て)は、「ZEH−M」、「Nearly ZEH−M」、「ZEH−M Ready」、「ZEH−M Oriented」の4区分が設けられ、いずれも断熱等性能は強化外皮基準(断熱等性能等級5)が求められる。

一次エネルギー消費量(対省エネ基準)は、いずれの区分も再エネを除いて▲20%以上、再エネを含む場合は「ZEH−M」が▲100%以上、「Nearly ZEH−M」が▲75%以上▲100%未満、「ZEH−M Ready」が▲50%以上▲75%未満とされた。

なお、共同建ての場合は、共用部分も含む住棟全体で一次エネルギー消費量の削減が求められる。

適用時期は、原則、2022年10月以後の設計検査申請分からの適用となる。