牧野植物図鑑のありがたさ/牧野記念庭園に魅せられて

牧野植物図鑑のありがたさ

自宅の書棚で存在感を放っている本がある。牧野富太郎の名著「原色牧野植物大図鑑」だ。分厚い辞書類はいくつもあるが、使用頻度からいうとこの植物図鑑が群を抜く。小生もさることながら植物好きの家人がもっぱら愛読、愛用しているからだ。散歩や旅先きで分からない草花を見つけると、この図鑑のご厄介になる。若い頃には植物などに見向きもしなかったのに、年を重ねるにつれ草花が気になるようになり、図鑑をくくったりする自分に苦笑したりする。年を経るにつれありがた味が増す本なんてそうザラにはない。

決して安価ではないこの牧野植物図鑑は30年以上前に三井不動産の社長・会長をつとめた江戸英雄さんから頂いたものだ。江戸さんは新聞記者たちと話をするのが好きだった。取材の枠を離れて交流する機会も多く、土いじりが好きで別荘に招かれ栽培した野菜などを土産にいただきもした。そんな縁もあってか、記者たちが江戸さんへの感謝の念を現わした集まりの返礼というかたちでいただいたのが、この植物図鑑。図鑑をくくるたびにいまも江戸さんの笑顔が想い浮かぶ。そして三井グループでのいまの三井不動産の存在感の大きさを見るにつけ、グループの中核に押し上げた江戸さんの経営手腕をも思い知るのだ。


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