2022.6.3

ポラスガーデンヒルズ、“3つの庭”で都市型居住の課題を解決

「唯・巧・居の家」が千葉県建築文化賞で入賞

ポラスガーデンヒルズは商・住が近接し、密集混在する都市における課題に対し、“3つの庭”を提案した戸建て分譲住宅が千葉県の建築文化賞を受賞した。区画割とプランニングの工夫が評価された。


「3つの庭」で都市型分譲住宅の可能性を提示した「唯・巧・居(いこい)の家」

ポラスグループのポラスガーデンヒルズの戸建分譲住宅「唯・巧・居(いこい)の家」(千葉県松戸市)が第28回千葉県建築文化賞(住宅の部)で入賞した。同物件は2021年度グッドデザイン賞も受賞している。

「唯・巧・居(いこい)の家」は、2020年に販売された全4棟の戸建分譲住宅。常磐線新松戸駅徒歩10分という好立地であり、都市化が進む多用途混在エリアに位置し、高層マンションと商業施設、低層から中層のマンション、低層住居も多く建てられている。同物件は、こうした商・住が近い距離にあり、密集・混在するなかで、過密化やコミュニケーションの断絶などの都市型居住空間が抱える課題を解決することをテーマとした。また、敷地は南北に細長く、南が12m道路に、北が6m道路に面している。家を正形に近く作るノーマルな区画割では全棟一体的な設計ができず、また、田字型の細長い区画割では建物の細長さへの抵抗や死に地が多くなる。そこで4棟連動してプランニングと区画割を行い、背割り部分での4棟だからできる仕掛けを模索した。

その結果、「自然な集まり方の距離感」をデザイン、庭をキーワードに住戸プランを計画した。並びあう2棟の建物の間口を4095㎜と3640㎜の組み合わせとし、敷地中央の背割部分に生まれた卍型の分割ラインの空間を生かすプランニングとしたのである。同社は従前から外構一体の開発に力を入れており「建物、外構のどちらが欠けてもだめ。これまでの経験値、技術力を強味としている」ことが、この物件でも生かされた。

同物件の大きな特徴が「3つの庭」の提案だ。「路庭(みちにわ)」は、アプローチと隣家を抱き合わせにし、仕切りは隙間のある横ルーバーなどでプライバシーを守りつつ開放感のある路地裏的空間だ。「斜庭(はすにわ)」は、隣棟の壁までの距離を自分の家のように見せて斜めにすることで気配のつながりを持たせ、空間的な広がりと光や風の住環境改善を図るもの。「縁庭(へりにわ)」は4棟の中心部分、区画割を調整して生まれた卍型の背割ラインを4棟一体とし、計画地中央に広がりのある空間を設けた。小さな庭が集まり緑のスクリーンを形成、住民同士の繋がりが期待できる。

一階リビングの住宅に暮らすA氏は「縁庭は、都市部では得にくいグリーンスポット。庭が広く見え、想像以上に明るく、圧迫感がない」とその効果を話す。また、隣家には同じ年頃の子どもがおり、庭があることで自然にコミュニケーションが取れているという。

千葉県建築文化賞は、建築文化や居住環境に対する県民の意識の高揚と、うるおいとやすらぎに満ちた快適なまちづくりを推進することを目的に実施されている。入賞にあたり「住まい手は日々の暮らしのなかで近隣との繋がり方、関わり方を気分と目的に合わせ、高めの天井高や開口部とともに自由に選択、調整することができる」と優れた都市型分譲住宅の可能性が評価された。