脱炭素化へ賃貸ZEHが拡大 環境意識の高まりが追い風に

賃貸住宅の高付加価値化のアプローチの一つとして、近年、顕著なのがZEH化だ。賃貸住宅においてもゼロ・エネルギーの暮らしを実現し、入居者に快適な暮らしと光熱費の軽減をもたらす。住宅各社が相次いでZEH対応の新商品を発売、受注を大幅に伸ばす企業も出てきている。

昨年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画で、2030年度以降に新築される住宅はZEH水準以上の省エネ性能の確保を目指すことが示された。一方で、2020年度の集合住宅着工面積におけるZEH−M比率は約1.2%と、戸建住宅に比べてZEH普及が遅れており、対策が急務となっている。

さらに、今後、新築分譲住宅と新築賃貸住宅を対象に、省エネ性能を光熱費に換算し、「目安光熱費」として表示する制度がスタートする。住宅の性能を伝える時、正確さと分かりやすさを両立することは難しい。数字やUA値といった単位から、一般の生活者が省エネ性を捉えることは不可能といえる。「目安光熱費」は、さらに一歩進め、生活者にとって馴染みのある「光熱費」を用いて省エネ性能を示そうというものである。住宅に関するポータルサイトなどで目安光熱費を表示することが想定されている。当初、新築賃貸については2022年10月以降に、制度導入がスタートする予定であったが、延期になり、来年度以降スタートする見込み。賃貸住宅においても、目安光熱費制度がスタートすれば、賃料の妥当性を消費者に分かりやすく示す根拠にもなる。ZEH化の動きは、さらに加速していきそうだ。

積水ハウス、ZEH賃貸でリード
21年度は3倍の8501戸

ZEH賃貸で先行するのは積水ハウスだ。戸建住宅でのZEHの知見をベースに賃貸住宅のZEH化に挑戦する。集合住宅では再生可能エネルギーを含む一次エネルギー削減率に応じて4種類のZEH(ZEH(100%以上削減)、Nearly ZEH(75%以上削減)、ZEH Ready(50%以上削減)、ZEH Oriented(20%以上削減))が定義されているが、同社はZEH Ready以上を賃貸住宅におけるZEHと位置づけ、2017年にシャーメゾンZEHの販売を開始した。


この記事はプレミアム会員限定記事です。
プレミアム会員になると続きをお読みいただけます。

新規会員登録

(無料会員登録後にプレミアム会員へのアップグレードが可能になります)

アカウントをお持ちの方

ご登録いただいた文字列と異なったパスワードが連続で入力された場合、一定時間ログインやご登録の操作ができなくなります。時間をおいて再度お試しください。