地域全体で経済を回すデザインを 仕事を創る人を創ることで地域が活性化する
食環境ジャーナリスト 金丸弘美氏
社会環境の変化、価値観の変化のなかで、地域産業も大きな転換期を迎えつつある。
今、地域の活性化には何が求められるのか──、食環境ジャーナリストであり、(一財)地域活性化センターのシニアフェローも務める金丸弘美氏に聞いた。
──地域活性化に、まず求められるポイントとは?
一つは、自治体が主体となり、しっかりとした全体の総合デザインを考えることが重要です。例えば、観光振興だと言いますが、よく聞くと観光資源は名所旧跡だけを指しているケースがあります。今、団体の観光客は激減しており、個人客が中心となっています。ニーズは多様化しており、以前のように有名旅館に宿泊して有名観光地を巡るような形には必ずしもなっていません。その地域が持つ資源が生かされていないのです。
どのような花が咲くのか、どのような食材があるのか、また、ツーリングに向いている場所はどこか、何キロでどこの山に登ることができるのか、そんな地域の特長をしっかりと把握したうえで、強みをどのように打ち出していくかが重要です。
これまでの流れで考えても上手くいきません。空き家が増えていますが、不動産事業の流れで「空き家貸します」ではだめです。リノベーションして宿泊施設にしても、その一棟だけでは弱い。地域全体で楽しめるような、広域でとらえる必要があるのです。そうでなければリピートにならない。地域全体としていかに経済を回していくかというデザインが必要だと思います。
──地域資産を生かすにしても、また、それを連携させるにしても人が重要になりますね。
はい、もう一つ重要なポイントが人材の育成です。以前から人財育成が重要だと言われてきましたが、具体的にどのような人材を生かすのか、どのようなスキルを持つべきかと深く考えている自治体はあまり多くはありません。
そのなかで注目しているのが田辺市(和歌山県)、高知県、そして熊本大学です。
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