不動産共通IDで日本の不動産マーケットは変わる
(一社)不動産テック協会・代表理事 巻口成憲氏
不動産の〝マイナンバー”ともいえる「不動産共通ID」に注目が集まっている。
不動産流通市場や不動産投資市場においては基盤となる共通のID整備は不可欠。
不動産ビッグデータ活用による新ビジネスへの期待も膨らむ。
民間から不動産共通ID普及を目指そうと取り組む(一社)不動産テック協会の巻口成憲代表理事に、開発背景や今後の展望などを聞いた。
──不動産共通IDの開発背景を教えてください。
中古住宅市場が活発な米国では約640のМLS(Multiple Listing service)と呼ばれる民間団体があって、全米のあらゆる不動産情報の履歴サービスや過去の売買履歴、周辺情報、地盤情報、市場分析レポートなどの情報が連携されていて、不動産エージョントはワンクリックで必要な情報を得ることができます。
また情報は24時間~48時間以内に登録することが義務づけられており、売り手も買い手もエージェントも豊富な最新のデータをみながら不動産を査定することができます。
日本にはМLSのような団体は存在していません。レインズの不動産登録は任意であり修繕履歴や税金情報もありません。大手ポータルサイトも集客がメインで取引に必要な情報連携はありません。
そのため、不動産取引を行おうとする売買仲介会社、リフォーム会社、調査会社、建物管理会社など違うプレイヤーがそれぞれ個別に散在する情報を求めて足で回ることを強いられているというのが現状です。
日本の不動産業界の労働生産性は米国の約3割にとどまるという厚労省の調査結果もあるほど、非生産性が指摘されるところです。この状況をなんとか変えていきたいというのが背景にはあります。
米国のようなさまざまな関連情報の連携を行うためには不動産に共通するIDが不可欠となります。しかし日本の不動産には、共通して利用できるID番号というものがありません。
──登記簿には不動産番号がありますが―。
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