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2022.3.28

熱海市の土石流災害受け、盛土規制法案が閣議決定

危険な盛土などを全国一律の基準で包括的に規制

昨年7月、静岡県熱海市で大雨に伴い盛土が崩落し、大規模な土石流災害が発生したことなどを踏まえ、政府は、危険な盛土などを全国一律の基準で包括的に規制する「宅地造成等規制法の一部を改正する法律案」(盛土規制法案)を閣議決定した。


熱海市土砂災害では、土石流の起点に存在した、開発行為に基づく盛土の崩落が原因と見られている( 写真:静岡県提供)

熱海市の土石流災害を機に、改めて盛土造成地のリスクがクローズアップされていることを踏まえ、国は2021年8月、都道府県に対して盛土の総点検を依頼。許可・届出資料などの確認から先行的に行った結果、2021年11月時点で、点検が必要な箇所は、約3.6万箇所にのぼることが判明している。

とはいえ、現行の法制度では、盛土に関して一律の基準で規制する法律はなく、宅地の安全確保、森林機能の確保、農地の保全などを目的とした各法律により開発を規制しており、各法律の目的の限界などから、盛土の規制が必ずしも十分でないエリアが存在した。全国知事会などからも、全国統一の基準・規制を設ける法制化の要望もあり、今回、国は盛土規制法案を整備した。盛土などによる災害から国民の生命・身体を守るため、「宅地造成等規制法」を法律名・目的も含めて抜本的に改正し、土地の用途(宅地、森林、農地など)にかかわらず、危険な盛土などを全国一律の基準で包括的に規制する。

改正案は4つの柱からなる。「スキマのない規制」では、都道府県知事などに、宅地、農地、森林などの土地の用途にかかわらず、盛土などにより人家などに被害を及ぼしうる区域を規制区域として指定できる権限を持たせる。市街地や集落、その周辺など、人家などが存在するエリアについて、森林や農地を含めて広く指定。市街地や集落などからは離れていても、地形などの条件から人家などに危害を及ぼしうるエリア(斜面地等)も指定する。また、農地・森林の造成や土石の一時的な堆積も含め、規制区域内で行う盛土などを許可の対象とする。

「盛土等の安全性の確保」では、盛土を行うエリアの地形・地質に応じて、災害防止のために必要な許可基準を設定する。今後、作成する政令、省令の中で詳細を決定する予定。また、その許可基準に沿って安全対策が行われているかどうかを確認するため、①施工状況の定期報告、②施工中の中間検査、③工事完了時の完了検査の実施などを義務付ける。

「責任所在の明確化」では、盛土などが行われた土地について、土地所有者などが安全な状態に維持する責務を有することを明確化。災害防止のため必要なときは、土地所有者だけでなく、原因行為者に対しても、是正措置等を命令できるようにする。

「実効性のある罰則の措置」では、無許可行為や命令違反などに対する懲役刑及び罰金刑について、条例による罰則の上限(懲役2年以下、罰金100万円以下)より高い水準に強化する。

今国会会期中の6月までに審議を経て同法を公布。公布日から1年以内に施行する。

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