どうする? 高齢者の住まい より長く快適に健康に暮らすために
超高齢化社会を迎え、改めて高齢者の住まいが問われている。高齢者の急増に伴い、医療費、介護費は年々増加し、医療・介護スタッフの不足の問題も顕在化している。こうした中で、高齢者の住まいを生かして、より長く快適に暮らすことができるようにするリフォーム、リノベーションの提案が活発化してきている。加えて、住み替え、コミュニティづくりなどを支援する取り組みにも注目が集まる。高齢者が、より長く快適に健康に暮らすために、安心して人生の最期を迎えるために、どのような住まいが求められているのだろうか。
”令和”という時代は、日本が超高齢化社会に本格的に突入する時代でもある。2025年に団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」も目前に迫る。
日本の人口の年齢分布をみると、1歳の間に100万人を超す人がいるコーホート(同年出生集団)は、団塊の世代(昭和22~24年)や団塊ジュニアの世代(昭和46~49年)で、200万人程度と、そのボリュームが大きい。その間の世代は150万人から200万人のボリュームで推移しているが、団塊ジュニア以降は、100万人に近づいていき、将来的には100万人を切った状態で少しずつ減っていく。
建築計画学が専門で、高齢者の住宅政策に詳しい、東京大学大学院工学研究科の大月敏雄教授は、「これからの20~40年の間に、団塊世代と団塊ジュニア世代が老いていく2つの大きな波で日本社会は揺さぶられる。とくに、2025年からの20年は、団塊の世代がすべて後期高齢者となる1回目の揺さぶりで、我々がいかに学び、足腰の強い”定常型社会”、つまり経済成長を絶対的な目標としなくても十分な豊かさが達成されていく社会へと移行していけるかが問われる試練の20年だと言える」と話す。
また、高齢者人口の急増により、医療費や介護費の増大が止まらず、その一方で、医療スタッフ、介護スタッフの不足も指摘されている。病院や特別養護老人ホームのような、高度に専門化した設備が必要な施設で最期を迎えるという選択肢はもちろんあるが、財源不足、人手不足の観点から、すべての高齢者を受け入れられる状況にはない。
大月教授は、「高齢者が人生の最期を迎える住空間とは、病院や特別養護老人ホームのような、高度に専門化した設備が必要な施設であるとは限らない。そうした施設を多く建設することは、将来、人口が100万人を切る状態で減っていく中で、負の遺産を残すことにもなりかねない」と指摘する。
高齢者自身も、多くの人は、自分が住み慣れた環境で、身内の人たちに看取られながら最期を迎えることを望んでいるはずだ。
理想的な人生の最期を迎える居住空間を求めるニーズは今後さらに高まっていく。そこに大きな市場としてのポテンシャルがある。
(一社)高齢者住宅協会も住まいのバリアフリー改修を重視
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