暮らしを一歩深く“想像する”
日本福祉大学の村井裕樹准教授は「バリアフリーとは、段差をなくすこと、手すりをつけること、それ自体でない」と指摘している。これらの配慮を行うことで、暮らしがどうなるのかが大事だと指摘し、「そこまで想像力を働かせること」を求めている。バリアを抽出し、一定の基準を設け、暮らしやすい空間を実現する前の段階として、居住者に対する思いが求められる。
村井ゼミでは実際に福祉サービス提供会社とともに有料老人施設の建設に携わったが、ここでの学生のアイデア、提案に共通するのは利用者に対する「心のやすらぎ」や「健康であり続けてもらうための思い」であったという。
東京歯科大学の鈴木昌教授は、熱中症の防止について「技術的な課題はない」と言い切る。「断熱の確保は非常に重要だが、例え断熱環境が悪かったとしても暖房や冷房で暑熱環境を整えることは一定程度できる、問題は家や設備機器の性能・機能ではなく、使う側」と指摘する。住宅内の熱中症で救急搬送される多くが高齢者であり、こうしたケースでは身体能力の定価もあいまって、そもそも熱中症に対する危機感や対応する意識そのものがないのだという。
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