今後の家づくりはC値1.0以下が当たり前になる 数値は目安、設計とユーザーが納得し快適で省エネな家づくりを
ものつくり大学 技能工芸学部 建設学科 准教授 松岡大介氏
HEAT20は気密性能としてC値0.7を推奨する。その数字の持つ意味、また、どうすればその性能を達成できるのか、さらに住宅事業者は“気密”にどう向かい合うべきかなどについて、気密性能評価TG主査を務める松岡大介・ものつくり大学准教授に聞いた。
──(一社)20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会(HEAT20)が推奨している隙間相当面積(C値)0.7㎠/㎡の根拠や意味などから教えてください。
松岡 すでに換気効率などを踏まえるとC値1.0㎠/㎡(以下、注釈のない数字はすべてC値・㎠/㎡)といった研究結果が出ています。加えて、HEAT20でNEB(快適性)の観点から室内の風速などを検討したところ、やはり1.0となりました。これらを踏まえ、経年で20~30%劣化することを考慮し、新築時0.7としました。
ただ、けっして0.7以下でなければ絶対にダメだといっているわけではありません。そもそも±0.2と、推奨値は0.5~0.9と幅を持たせています。ゼロに近づけることが悪いのではなく、このレベルでの性能の競争にあまり意味はないのではないかということです。
しかし、さらに高い性能、例えば、今検討されている等級6や7、HEAT20のG2、G3のレベルになると話は違って1.0以下が必要になると思います。このレベルになると熱損失の割合が増えますし、住宅内の温熱環境が均質な空間になり、ちょっとした隙間風などが気になるようになります。今後、より高い性能を目指すという意味からも新築時0.7を推奨するということです。
今後、市場では1.0を切ることが普通になってくるのではないでしょうか。例えば、先日、某住宅事業者の注文住宅を測定する機会がありました。特に高気密・高断熱をウリにしている事業者ではありませんが、C値は1.5程度でした。一・二階を剛床にして、耐力面材を張って、アルミ樹脂複合窓を採用すれば、気密をそれほど意識せず普通に施工をするだけでその程度の性能が出るようになっているのです。
一方、昨年頃から急に、工務店やビルダーから注文住宅の気密についての相談を受けるケースが増えました。SNSで多くの情報を簡単に手に入れられるようになり住宅需要者から気密について聞かれることが増えたようです。
技術が進み、エンドユーザーの知識も増えるなか、必然的に住宅事業者の気密性向上への取り組みが進むでしょう。普通に施工して2.0を切るようになっているのですから、ちょっと丁寧に施工すれば1.0以下になります。
剛床合板と柱の隙間、気密パッキンの継ぎ目がポイント
──その“ちょっと丁寧に施工”のところを詳しく教えてください。
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