2022年頭所感を読む
今年も企業トップからの年頭所感が届いた。記者にとってこの年頭所感は今年の企業経営の軸足をどこに置き、市場環境や経済をどう見通しているかを知るかっこうの材料となるだけに見逃すわけにはいかない。昨年は新型コロナ一色だった。コロナ禍のなかの新たなビジネスモデルを探る動きが目立ち、ホームステイでのテレワークなどで住空間が見直されると指摘、住宅産業にとっては追い風とみるむきも多かった。それだけに今年の年頭所感はコロナ禍ビジネスを総括し、新たな展望を語るはずとみていたが、まさかコロナ禍が収束どころか新型のオミクロン株の感染拡大が不気味さを加えるとはまさに想定外。ウイズ・コロナの事業戦略に本腰で取り組まざるを得なくなっている。
カーボンニュートラルへの挑戦
トップが口をそろえたのがやはり「2050カーボンニュートラル」の実現に向けての取組みだ。なかでも追い風に乗る木造建築を主軸とする住友林業の光吉社長は「植林→育林→伐採→利用→再造林からなる循環型森林経営を経済的に自立させるサーキュラーバイオエコノミーを国内外で実現する」と宣言し、「良質な木造建築を普及することでエンボディード・カーボンを削減し、長期にわたる炭素固定の機能を高め、街を森に変えていく」と意気軒昂。三井ホームの池田社長も木造施設系建物への強化を打ち出し、具体的に「サステナビリティブランド、木造マンションブランドの立ち上げ」を表明し、SDGs、脱炭素社会への貢献を目指す。三菱地所ホームも「建物の木造木質化事業の推進」(加藤社長)をうたう。純木造8階建ての新社屋を建設したアキュラホームは、この新社屋をテコに「本格的に木造建築普及事業を開始し“木造住宅のアキュラ”から“木造建築のアキュラ”」(宮澤社長)へと変貌のステップを踏み出す。LIXIL住宅研究所の加嶋社長は脱炭素社会の実現に向けた取り組みとして「当社の英知を結集した高性能住宅“すごい家”の販売開始」を発表。大建工業の億田社長は環境経営の強化を明確化し、行動で示す地球環境ビジョン2050の策定を公表し、「具体的な目標として2050年までに“温室効果ガスの排出量実質ゼロ”“廃棄物の最終埋立処分量ゼロ”“ラワン材の使用ゼロ”の達成」を掲げる。文化シヤッターも事業活動における温室効果ガスの実質排出量ゼロを目指す“2050年脱炭素宣言”を行うとともに「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明し、気候変動のビジネスリスクと機会について透明性の高い情報開示に努める」(小倉社長)と、環境経営の高みを目指す。三協立山三協アルミ社の西社長は「環境技術でひらく、持続可能で豊かな暮らしの実現」を掲げている。スペースクリエーション企業への転換を進めるサンゲツの安田社長は「2030年カーボンニュートラルを目標とし、グループ全体でも環境負荷低減に向けた数値目標の検討を進める」。
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