【在宅避難】太陽光+蓄電池で停電でも安心 自動車からの給電で広がる可能性

自然災害対策の新スタンダード

太陽光発電と蓄電池による創蓄連携システムへの注目が高まっている。災害時の長期にわたる停電でも、わが家に安心して住み続けられることができる。さらにHVやPHVなどを活用した提案も広がり出している。


自然災害の発生時に特に重要となるのが電気の確保だ。現代の生活は、その多くを電気に頼っている。照明はもとより、調理器具などが使えなくなるケースもある。また、災害時に非常に重要になる情報もTVやラジオ、情報端末などから得ることができない。さらに集合住宅においては水を確保することも困難になる。

コロナ禍において避難所のリスクも高く、自宅で住み続けることの重要性がさらに高まっている。住まいが”在宅避難”の場所となるうえで、電気の確保は無くてはならないものだ。

例えば、2019年の台風15号は東日本と東北地方を中心に広範囲な被害を生んだ。なかでも社会的な課題として浮き彫りになったのが停電。千葉県で約64万件に及ぶ停電が発生し、このうち約2300件の停電は2週間にわたり復旧のめどが立たなかった。

その前年に起こった北海道胆振東部地震では日本で初めてブラックアウトが発生、北海道全域で最大約295万戸が停電した。

大規模な地震や台風による被害が毎年のように起こるなか、長期にわたる停電が起こっても暮らし続けることができる住まいづくりが求められているのである。

停電でも住み続けられる
創蓄連携の提案が活発化

こうしたなかで急速に取り組みが広がっているのが創蓄連携システムの提案である。

太陽光発電を設置することで系統電力に頼らずに電気を使うことができる。しかし、夜間には発電せず、天候にも大きく左右される。そこで蓄電池を導入し電気を溜めておけるようにすることで、時間を選ばずに使うことができる。太陽光発電による余剰電力を溜めておいて夜間に使う、価格の安い夜間電力を蓄電しておいて昼間に使うといったことが可能になる。また、EVなどが広がりつつあるなか自動車の蓄電池への蓄電、また、自動車から住宅への給電が可能になっている。今後の住宅の省エネ化、カーボンニュートラルを目指すうえで大きな期待が集まる。

この創蓄連携システムの大きな価値が災害時での活用だ。停電が長期にわたっても自宅で暮らし続けることを可能にする。

例えば、積水化学工業・住宅カンパニーでは、脱炭素と災害対策を付加価値としたまちづくりに力を入れているが、災害対策の大きな柱の一つが太陽光発電と蓄電池、HEMSの3点セットによる「家まるごと仕様」だ。一般的に蓄電池は停電時に利用できるコンセントは非常時兼用のもののみであるが、家中のコンセントに給電が可能で、200Vの高圧出力が必要な設備へも給電することができる。

自然災害が甚大化、頻発化するなか、その対策を強化した提案が相次いでいるが、”在宅避難”を可能にする提案の大きなポイントの一つが、この創蓄連携の提案だ。例えば、今年度に入ってからも、パナソニック ホームズの「カサート レジリエンスモデル」、アキュラホームの「超防災の家」などが発売されている。

トヨタホームの「クルマde給電」は、停電時にHVやPHVから住宅に電力を供給することができる

さらにHVやPHVを活用する提案も活発だ。トヨタホームは昨年9月、業界初の非常時給電システム「クルマde給電」を発売した。停電時に住宅へ電力を供給する外部電源としてHV・PHVなどのAC100V・1500Wアクセサリーコンセント(非常時給電システム付)やビークルパワーコネクターから住宅内特定回路に電力を供給することができる。先に発表された「グッドデザイン賞2021」において「ベスト100」にも選ばれた。

創蓄連携の価値は省エネではなく防災


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