中古住宅市場、マンションは転換期に 戸建は高い水準で安定化
東京カンテイ 市場調査部 井出武 部長
コロナ禍のなかで都市部を中心に好調に推移している中古住宅市場。
果たして、今後、どのような動きを見せるのだろうか。
東京カンテイ市場調査部の井出武部長に話を聞いた。
中古マンションは売り手市場から買い手市場へ
──中古住宅市場の現状についてどのように見ていますか。
まずマンションについては、コロナ禍のなかで堅調に推移してきました。例えば、首都圏の2021年8月の平均価格は4243万円で、4カ月連続での増加となっています。2020年1月が3716万円でしたので、コロナ禍の中で価格が上昇していることが分かります。
首都圏の中古マンション市場の新規住戸数と消滅住戸数の変化を見ていくと、2020年6月以降、消滅住戸数が新規住戸数を上回る状況が続いていました。つまり、市場に新たに供給される中古マンションよりも、販売されて売り手がつくものの方が多かったのです。完全な売り手市場だったわけです。中古マンションの在庫住戸数も減少傾向が続いていました。
しかし、今年5月くらいから風向きが変わってきています。新規住戸数の方が消滅住戸数を上回るようになってきているのです。つまり、売り手市場から買い手市場に転換しつつあるというわけです。
こうした傾向は、首都圏だけでなく、近畿圏や中部圏でも見られはじめています。
──なぜ、風向きが変わってきたのでしょうか。
中古マンションのなかでも、実需物件についてはそれほど大きな変化は見られません。問題は投機目的のものです。
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