基準地価、住宅地の下げ幅は縮小
2年連続下落も、東京郊外の上昇が加速
国土交通省の「令和3年都道府県地価調査」(基準地価)によると、全国の地価はコロナ禍の影響で住宅地は2年連続下落したものの、前年度よりも下げ幅は縮小。首都圏では、東京郊外の上昇継続が目立った。
国土交通省は「令和3年都道府県地価調査」(基準地価)を発表した。
用途別にみると、住宅地0.5%下落、宅地見込地0.2%下落、商業地0.5%下落、工業地0.8%上昇となった。
住宅地の地価について、圏域別に対前年比の変動率を見てみると、東京圏は0.1%上昇と下落から上昇に転じた。大阪圏は0.3%下落と2年連続の下落となったが下落幅は縮小した。名古屋圏は0.3%上昇と下落から上昇に転じた。地方圏は0.7%下落だったが下落幅は縮小。地方圏のうち、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)は4.2%上昇と9年連続の上昇となった。また、地方四市を除くその他の地域は0.8%下落と下落が継続しているが下落幅は縮小している。
このうち、東京圏の住宅地の地価の上昇については、根強い人気の都心部に加え、郊外の住宅需要の高まりが大きく影響を与えている。テレワークの普及で都心のオフィスに出社する頻度が減ったことで郊外の住宅需要が増加し、その結果、郊外の住宅地の地価の上昇につながっている。
例えば、上昇率は東京都では武蔵野市1.5%、調布市1.1%、府中市1.0%、立川市0.7%と郊外で高い。また、千葉県では浦安市2.4%、市川市2.1%、木更津市1.2%、埼玉県では川口市1.2%、戸田市1.7%と東京近隣県でも地価の上昇が目立つ。こうした郊外での地価の上昇傾向は前年度もみられたが、今年は上昇幅が大きくなり、より郊外住宅地の需要上昇が加速していることが見て取れる。
実際に大和ハウス工業ではマンションの販売状況について「昨年度も郊外での売れ行きが良かったが、今年は拍車が掛かっている」とマンション事業本部 事業統括の角田卓也部長は話す。湘南や調布の物件の売れ行きが非常に好調だという。
野村不動産も郊外の分譲マンション需要を感じており、「間数・広さを求めての準都心や郊外物件の販売も好調で底堅い重要を感じている。新築だけでなく中古売買も好調で、これを受けて4月〜6月の首都圏での成約件数が過去最高を記録した。コロナ禍の住み替え需要はまだ一巡したとは考えていない。総じて強い需要を感じる状況」と松尾大作社長は今後の期待感を示す。
東京郊外の住宅需要がますます好調に推移しているだけに、今後も郊外の地価上昇の傾向が継続する公算が大きそうだ。
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