エシカルな選択肢の提示と啓発が重要 住宅事業者はもっと生活者目線を
日本女子大学 細川幸一教授
社会に配慮した消費である「エシカル消費」への関心が若い世代を中心に高まり、企業の取り組みが求められてきた。エシカル消費について、日本での現状はどうなのか、住宅・不動産業界に求められることは何か、日本女子大学の細川幸一教授に聞いた。
日本女子大学 家政学部 教授 細川幸一 氏 一橋大学大学院法学研究科博士課程修了。 独立行政法人国民生活センター調査室長補佐、米国ワイオミング州立大学ロースクール客員研究員等を経て、現職。 専門は消費者政策、消費者法、消費者教育。 内閣府消費者委員会委員、東京都消費生活対策審議会委員、文部科学省教科用図書検定調査審議会臨時委員等を歴任。
──日本でもエシカル消費への関心が高まりつつありますが、一方で課題は?
課題の一つは、「コスト」です。エシカルの観点に配慮して生産されたものは、どうしても一般的に流通しているものよりも価格が割高になります。
例えば、卵については、一般的にスーパーで売られているものは、だいたい10個入り200円程度で、特売日などでは100円ほどのこともありますが、アニマルウェルフェア(動物福祉)に配慮して生産された平飼い卵はだいたい400〜500円程度と、価格にかなり差が出ます。前者の卵を産む鶏は狭いケージに押し込められています。一方で、後者の卵を産む鶏は自由に行動できる平らな場所で育てられるため、卵の価格は必然的に割高になります。
これまでは“買い物上手であることが重要”であるという価値観で消費行動が推奨されてきたため、自分にとって効用が高い商品を選ぶことが賢い消費者とされてきました。しかし、これからは社会の課題解決に向けた消費行動が重要になってきますので、商品やサービスを提供する事業者は、消費者に対して価格が多少割高になってもエシカルな商品を選ぶよう、積極的に普及啓発を行っていくことが重要になりそうです。
一方で、そもそもエシカルな商品を購入したくても金銭的な余裕がなく購入できない人がいることも事実であり、こうした人はどうすればよいのかという議論もあります。
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