2021.9.28

長期優良住宅の認定基準、省エネはZEH水準に

性能表示制度で新設の上位等級への適合求める

国土交通省は長期優良住宅の認定基準を見直す。省エネでのZEH水準への基準引き上げや、共同住宅での面積基準の緩和などを行う方針だ。


9月16日、同省は「長期優良住宅認定基準の見直しに関する検討会」の第2回を開催、長期優良住宅の認定基準の見直しに向け、基準の改正案の議論を行った。

改正案では、認定基準のうち省エネ性に関して、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、”ZEH水準”に引き上げる方針を示した。具体的には、住宅性能表示制度で、ZEH水準の省エネ性能を評価するものとして、「断熱等性能等級5」と「一次エネルギー消費量等級6」といった上位等級を新たに創設。そのうえで、長期優良住宅認定の省エネに関する基準として、新設の「断熱等性能等級5」と「一次エネルギー消費量等級6」を設定する考えだ。

なお、住宅性能表示制度でのZEH水準の新たな上位評価等級については、「早期に位置付けが必要」(国土交通省)とし、9月中にもパブリックコメントに掛け、早期に同制度のなかで位置付けるよう手続きを進める方針だ。

共同住宅の床面積基準の緩和も図る。

現行基準では、共同住宅の床面積について、55㎡以上(2人世帯の都市居住型誘導居住面積水準)を求めているが、改正案では40㎡以上(1人世帯の都市居住型誘導居住面積水準)に緩和するとした。近年、ひと世帯あたりの人員数の減少が進んでおり、特に、共同住宅では単身世帯の増加により平均世帯人員が1・8人となっている(住宅土地統計調査)。こうしたことから、国土交通省では床面積基準を緩和することで、単身世帯向けなどの小規模な共同住宅などでも長期優良化を進めていきたい考えだ。

さらに、検討会では、「東京などの都心部では、40㎡よりも小さな床面積の共同住宅も多く、単身者ならある程度快適に暮らすことができる。こうした点も踏まえ、例えば、25㎡以上といったレベルまで基準を緩和してもよいのではないか」との意見も出され、これに対して国土交通省は「将来的には検討が必要」とした。

また、共同住宅については、評価方法も見直す。現行では住戸ごとに認定・評価する方法が取られているが、共同住宅1棟単位で認定の申請を行いたい場合、大きな手間が掛かる。こうしたことから、国は住棟全体で認定できるようにしていく方針で、今回の改正案では、これまで住戸ごとの評価を求めていた項目(「省エネ対策(外皮性能・一次エネ性能)」「維持管理・更新容易性(専用配管)」「高齢者等対策」)について、住棟全体で評価できるよう仕組みを見直すとした。

長期優良住宅の認定基準の改正案については、今回の検討会で委員から概ね了承を得られたため、12月に開催する次回の検討会で、具体的な施行の実施スケジュールなどを検討する予定だ。

長期優良住宅認定基準(省エネルギー対策)

断熱等性能一次エネルギー消費量性能
現行基準住宅性能表示の等級4
(UA値0.87以下)
※6地域の場合
なし
改正案住宅性能表示の等級5
(UA値0.60以下)
※6地域の場合
住宅性能表示の等級6
(BEI0.80以下)
※省エネ基準▲20%