新型太陽光発電が相次ぐ
新技術で発電量を最大化、条件不利地域でも導入可能に
これまでにない技術を採用した“新型太陽光発電”の提案が相次いでいる。新技術で発電量を最大化することで、影のかかりやすい都心部の屋根でも設置が可能なものや、透明ガラスで発電できるものが登場。住宅への太陽光発電の導入を大きく推進しそうだ。
ハンファQセルズジャパンは、日本市場向けで初めてMLPE技術を採用した住宅用太陽光発電システム「Q.SUPREME」(キュー・シュープリーム)の販売を11月20日から開始する。
MLPEとは、太陽光発電の出力をパネル1枚ごとに最適化できる技術のこと。一般的な太陽光発電のシステムでは、太陽光発電パネル全体のうち影などの影響で一部のパネルで出力が低下した場合、パワーコンディショナーが出力の低いパネルに合わせてパネル全体の出力を制御する。結果、出力が高いパネルの発電能力が抑制され発電ロスが生じる。一方で、MLPEを導入した太陽光発電システムであれば、パネル1枚ごとに出力制御を行うため、発電ロスを抑えられ、発電効率を最大化できる。
東京都心部などでは、周囲の建物により日陰になり、太陽光発電の導入を諦める人も多いが、MLPE導入の太陽光発電システムを導入することで、例えば影が一部のパネルに掛かる程度であれば、十分な発電量を確保できる可能性がある。また、太陽光発電の出力を最大化できるという点では、これまで設置が難しかった都心部の狭小住宅でも設置しやすくなると言えそうだ。
透明ガラスによる太陽光発電の提案も出てきた。
NTTアドバンステクノロジは、SQPV技術を活用した無色透明発電ガラスの販売を開始した。SQPVは非可視光である紫外光と赤外光を吸収し発電する技術。無色透明であるため、「一般のガラスが使える全ての用途に利用できる」(同社)としており、住宅への採用も可能。さらに、遮熱性能も持つため、既存住宅に内窓として設置すれば、太陽光発電と断熱リフォームを一度に行える。窓への取り付け技術については、YKK APが協力している。
国は2030年度までに新築戸建住宅の6割で太陽光発電設備の導入を目指す目標を掲げている。だが、日陰になりやすい東京都心部など、十分な発電量を確保できない、いわゆる”条件不利地域”では、導入者メリットを十分に得られないことから、太陽光発電の導入が進んでいないのが実情だ。
こうした新型太陽光発電の提案が活発化してきたことで、目標実現への期待感が高まる。
また、国は2050年のカーボンニュートラルに向けた施策の一つとして、ZEHの普及拡大も掲げているが、これに向けては太陽光発電の住宅への設置拡大が重要になる。新型を通じ太陽光発電の設置率が向上すれば、ひいてはZEH率の向上にもつながるだろう。
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