住宅太陽光発電マーケット最前線

初期費用、条件不利地域へのソリューション

国は2030年に住宅での太陽光発電の設置率6割を目標とする考えを示した。
現状の設置率は1〜2割とみられ、非常に高い目標と言える。
100万円以上を必要とする「高額な初期費用」や、十分な発電効率を得るのが難しい「条件不利地域」といった課題があるなか、住宅事業者は設置率6割に向けてどのように取り組んでいけば良いのか──。
住宅太陽光発電マーケットの最前線を追う。



脱炭素、住宅への太陽光設置にポテンシャル
30年6割の目標、将来的に義務化も

「2030年度に2013年度比でCO2を46%削減」、「2050年のカーボンニュートラル」という非常に大きな目標の実現に向け、官民を挙げて総力戦での取り組みが進められている。

10月22日、新しいエネルギー基本計画が閣議決定、電源構成のうち、再生可能エネルギーが占める割合を2019年の18%から、2030年度には36〜38%に増やす目標を掲げた。この内訳については、太陽光発電が14〜16%、風力発電が5%、地熱発電が1%、水力発電が11%、バイオマス発電が5%となっており、太陽光発電の比率が最も多い。洋上風力発電などの新たな再生可能エネルギーの技術開発にも注目が集まっているが、現段階では最も普及が見込める太陽光発電の比率を高めていく方針だ。

太陽光発電の認定量(FIT)・導入量/今後のイメージ

導入量は、現時点で具体化されつつある政策を最大限・確実に実施することで(政策対応強化ケース)、新規導入量を2030年度までに年間6GW規模まで拡大させ、これまでの導入量と併せて累計で100GWを目指す。

ただ、太陽光発電のうち、10kw以上の事業用については、FITの売電価格が高い時期に多くの設置が進み、設置に適した平地が少なくなってきている。また、景観や土砂災害につながるリスクなどから、山地での設置も難しくなってきている状況だ。こうしたなかで設置場所として大きな期待が集まっているのが、住宅の屋根だ。

(一社)太陽光発電協会の統計によると、住宅用(10kW未満)の太陽光発電の導入件数は2020年で281万7670件である。総務省の「平成30年 住宅・土地統計調査」によると、戸建住宅ストックが2875万8600戸であり、戸建住宅の太陽光発電導入は、まだ1割程度ということになる。こうしたことから、今後の導入のポテンシャルが大きいとして、今年8月、国土交通省、経済産業省、環境省の3省連携で設置した「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」(以下、あり方検討会)は、”2030年までに、新築戸建住宅の6割において太陽光発電設備が導入されていることを目指す”という目標を掲げた。さらに、”将来における太陽光発電設備の設置義務化も選択肢の一つとしてあらゆる手段を検討し、その設置促進のための取り組みを進める”とし、将来的な義務化も示唆した。

設置率6割の目標実現に向けた施策の一つはZEHの普及拡大だ。「すべてのZEHで太陽光発電を設置しているわけではないが、補助金の申請データから9割くらいは設置していると推計できる」(資源エネルギー庁)とし、従来からのZEHへの支援措置を継続するとともに、融資や税制においても支援措置を講じていく方針だ。

資源エネルギー庁によると、現在、ZEH率は大手ハウスメーカーの注文戸建て住宅で48%、中小工務店では8%、建売戸建では1%となっている。大手ハウスメーカーでは既に約半分がZEHという状況の半面、中小工務店と建売戸建住宅では大きく取り組みが遅れているという状況だ。しかし、「中小工務店は日本の注文住宅供給戸数の5割を、建売戸建は3割を占めるだけに、これらの住宅のZEH率の引き上げが30年の戸建住宅への太陽光発電の設置率6割の目標達成に向けて重要」(同)とし、中小工務店への支援に重点的に取り組みたい考えだ。

京都府・京都市では説明義務化
東京都では先駆け義務化も検討


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