2021.9.24

リビタ、”住”の要素取り入れたシェアオフィス事業を本格化

26年までに10施設の開業目指す

リビタは「住」の要素を取り入れたシェアオフィス事業を本格的に展開する。
東京を中心に2026年までに10施設の開業を目指す方針だ。


シェアオフィスが供給不足
23区では1%にとどまる

リビタは2018年にシェアオフィス事業「12(ジュウニ)」を開始。第一弾の「12 SHINJUKU」を東京都新宿区で開業している。

「12」は同社のシェアハウス事業のノウハウなどを活用し、“住”の要素を取り入れていることが特徴。オフィス内に、リビング、キッチン、イベントスペースなどの住まいの機能の一部を導入することで、「暮らしを自由にするオフィスを提案し、暮らし方まで変えてしまいたいとの想いで取り組んでいる」(オフィス推進室グループリーダー 井上聡子氏)という。

コロナ禍でシェアオフィスに対するニーズが高まっている。実際、「12 SHINJUKU」の平均稼働率は約93%と高い。一方で、東京23区においてシェアオフィスなどのコワーキングスペースはオフィス全体の床面積のうち1%程度しか供給されておらず供給不足の状況だ。こうしたことから、リビタは今後シェアオフィス市場はさらに拡大すると考え、今回、シェアオフィス事業を本格化させる。

共用スペース。キッチンや小上がりスペースを設ける

新たな住の要素を導入
「にわ」付き一戸オフィス

9月1日に第二弾となる「12 SHINJUKU3CHOME(ジュウニ シンジュクサンチョウメ)」をオープンした。

第一弾と同様に、“住”の要素を取り入れ、オフィス内に共有のリビング、キッチンを導入した。共有リビングは小上がりのスペースで、「靴を脱ぐことで、オンとオフの切り替えをできるようにした」(同)という。

新たに「にわ」スペース設けた

また、新たに「にわ」を取り入れた設計を行った。それぞれの部屋に掃き出し窓で隔てた「にわ」スペースを設置。休憩したり気分を変えて仕事をするなど、自宅の庭のように自由に使える空間を設けた。リビタでは、庭付き一戸建てならぬ、“「にわ」付き一戸オフィス”と表現している。

“また貸し”も可能
よりフレキシブルに利用

運用の新たな試みとして、オフィスを“また貸し”できる「マガリ」という仕組みも導入した。これは、オフィスを使わない時間は、会員登録している会社や個人に貸し出せるというもの。日時をスマートフォンアプリに登録するだけで簡単に貸し出すことができ、「マガリ」された分の利用料が賃料から相殺される。コロナ禍で働く場所の自由度が高まり、シェアオフィスを毎日は使わない人も増えた。こうした人でも借りやすいように「マガリ」の仕組みを考えたという。

シェアオフィスの様子

また、今回、複数の「12」を展開していくことに伴い、各シェアオフィス間の相互利用ができるようにした。区画契約者・フリーデスク契約者は、契約しているシェアオフィス以外の「12」でも、ラウンジとLDKを利用することができる。

また、法人契約でなく、個人会員制度を設けた。複数の「12」のラウンジやLDKなどの共用エリアを利用できる。

山手線沿線をメインに開業
郊外エリアへの展開にも意欲

リビタは「12 SHINJUKU3CHOME」の後にも、10月1日に「12 NISHISHINJUKU(ジュウニ ニシシンジュク)」を開業する予定。さらに神田エリアでの新規開発も進めており、2026年までに10施設の開業を目指す。

既に運営している「12 SHINJUKU」では、ベンチャー企業、大手企業、外資系企業の利用が多いことから、こうした層を今後もメインターゲットとして訴求していきたい考えだ。

展開エリアは山手線沿線内をメインに想定。加えて、コロナ禍でテレワークが普及したことで、郊外エリアでのシェアオフィス需要が高まっていることから、親会社の京王電鉄とも連携しながら京王線沿線の郊外住宅地での展開にも意欲を持つ。

ただし、郊外では都心ほどの稼働率を確保することが難しいことも考慮して、シェアハウスなどとの複合施設として展開することも視野に入れる。