シェアビレッジ代表取締役 丑田俊輔 氏 秋田県五城目町に「ネオ集落」を建築
「つながり」を資本に不動産に新しい価値を創造していく
5棟のデジタル民家で構成した「ネオ集落」を創造し、つながり=コミュニティを資本にすることで不動産に新しい価値を見出そうという取り組みが、秋田県五城目町で繰り広げられている。このプロジェクトを主導するメンバーのひとり、シェアビレッジの丑田俊輔代表取締役に話を聞いた。
──丑田さんは、もともと東京から五城目町に移住したそうですが。
1984年生まれ。大学時代、千代田区の公共施設をまちづくり拠点として再生する「ちよだプラットフォームスクウェア」の創業に参画。卒業後、日本IBMの戦略コンサルティングチームを経て、新しい学びのクリエイティブ集団「ハバタク」を創業し、国内外を舞台に様々な教育事業を展開。2014年より秋田県五城目町在住。コミュニティプラットフォーム「Share Village」などを手掛けながら、秋田と神田を行き来する暮らしを実践。
学生の頃、千代田区の「ちよだプラットフォームスクウェア」の立ち上げに携わりました。「ちよだプラットフォームスクウェア」は、民間と行政が連携し、公共施設をリノベーションし、2004年にシェアオフィスとしてオープンしたものです。シェアオフィスとしては、日本では先駆的な存在です。
このプロジェクトに携わる中で、シェアしていくことでつながりが生まれ、非常にパワフルな生態系のようなコミュニティが創造されることを実感しました。
決して新しい建物ではありませんでしたが、シェアオフィスにリノベーションすることで、刺激的な企業や人が集まり、その影響が周辺の建物、さらには地域全体へと波及していく様子を目の当たりにしたのです。
東京から五城目町に移住したのは、2014年のことです。実は千代田区と五城目町が姉妹都市であったこともあり、「ちよだプラットフォームスクウェア」を通じて五城目町の方々とのつながりができていました。
東京に居る時、当たり前ですが、家も食べ物もお金を使い調達していました。場合によっては子ども達の遊び場さえ、お金を払ってサービスと施設を利用するような状況です。資本主義の枠組みの中で、貨幣経済が生み出す価値基準だけに縛られていました。東日本大震災も経て、そういう状況に漠然とした違和感がありました。
また、五城目町で廃校舎をシェアオフィスとして再生するプロジェクトがはじまっていたこともあり、家族で五城目町に移住することを決めたのです。
移住後、築133年の古民家再生するプロジェクトなども進めながら、シェアビレッジの事業も展開するようになっていきました。
共助経済によって古民家を再生
──古民家再生のプロジェクトとは。
五城目町に立派な茅葺きの古民家があったのですが、所有者の方が高齢化しており、解体を検討しているという話を聞きました。かつては地域の材料を使い、地域の方々が協力しながら屋根の葺き替え工事などを行っていたそうですが、高齢化によって共助による管理が難しくなっていたのです。そうなると、都会のようにお金を払って管理をしてもらうしかない。どうにかして共助経済によって古民家を無理なく管理していくことができないか―。そう考えるようになったのです。
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