縄文遺跡の世界遺産登録/1万年続いた平和の共同社会
縄文遺跡の世界遺産登録
新型コロナのパンデミック、東京オリ・パラ2020+1の喧騒のなか、あまり大きな話題にはならなかったが、嬉しいニュースがあった。ユネスコによる「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産の登録決定である。北海道と青森、岩手、秋田の3県に広がる17箇所の縄文遺跡が対象だ。考古学ファンからは快哉の声が届く。縄文時代は知れば知るほどその奥深さに魅せられ、不思議の世界に引きずり込まれる。まるで謎解きのパズルのようでもある。そしてコロナ禍で、社会構造や生活のありようが大きく問われている今、“縄文”へのスポットライトはポストコロナに向けて大きな意味を持つようにも思えるのだ。
縄文時代―。今から約1万3000年前から2300年前くらいの時代を指す。実に1万年以上も続いた。1000年じゃない、1万年だ。気の遠くなるような悠久の縄文という1時代が日本には存在したのだ。なぜ1万年も続いたのか。それも狩猟、漁獲、採集を生活基盤としながらだ。争いの歴史とさえいえる時を繰り返してきた近・現代人にとってはまさに、ミステリーだが、同時にそれは縄文人の生活をさまざまにイメージし、妄想をかきたててくれるロマンの世界への誘いでもある。そして人それぞれの妄想をヒートアップさせてくれるのが縄文遺跡から発掘される住居跡や土器、土偶、生活用具の数々だ。
縄文時代に多くの人が魅せられるきっかけになるのが土偶だろう。世界遺産に登録された遺跡に敬意を表するなら、手を合わせて祈る国宝「合掌土偶(青森八戸市)」を前にすると誰もが人間誕生の尊厳を思い知らされ、敬けんな気持ちにさせられる。東北地区の遺跡群に数多く見られるゴーグルをかけたような「遮光器土偶」の顔いっぱいの目はユーモアたっぷりだし、頭の装飾や身体の模様も美しい。北海道の国宝「中空土偶」も身体が中空で、均一の厚みでつくられている。ほほ笑むような、何か問いかけるような目の表情が印象的で見飽きない。十字型をした「板状土偶」も大型、小型と多士済々。お守り代わりに持っていたい衝動にかられる。土偶は全国で2万点あまりが発掘されているが、土偶の多くが女性や妊婦であることから女性を模すことで自然の恵みや豊作、子孫繁栄を願ったものだろう。
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