林業経営が成立する価格は

『ウッドショック』下の木材利用③

利用期を迎える国産材を活用して林業を成長産業化に導くにはどのような取り組みが求められているのか。
林材ライターの赤堀楠雄氏が地域で芽生える国産材活用の事例をルポする。


伐採経費計上が目的化していないか

森林所有者の収入を確保するためには、どうすればいいのか。

まず強調しておきたいのは、そもそも林業経営収入とは何かをよく認識するということだ。言うまでもなく、その第一は、山に生えている木を販売して森林所有者が手にする収益である。ところが、昨今はそのことがあまり意識されていなかったり、ややもすると軽んじられていたりする傾向がある。

長期間、木を育て続けてきた森林所有者の利益を確保する必要がある

ウッドショック下の現在こそ、木材価格が高くなっているので、木を販売すれば確実に森林所有者も収入を確保することができるが、価格が長く低迷していた昨年までは、丸太の代金から伐採・搬出・運搬などの経費を差し引くと、所有者の手元にはろくに残らないというケースが頻発していた。作業に手間がかかる間伐の場合なら、補助金を使っても売上と経費がトントン、つまり間伐材の販売に伴う収入はなしというケースがざらにあった。皆伐ならある程度の収入は見込めても、伐採跡地に植林し、下刈りなどの手入れを数年続ければ、結局は経費割れになる恐れがある。そのため、伐りっ放しで跡地の植林を見合わせる所有者が続出している実態がある。


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