土石流が人災であったとしても

熱海市の土石流の源頭部は、盛り土がごっそりと崩落した(写真:静岡県提供)

7月3日に熱海市で発生した大規模な土石流は、伊豆山から推定10万㎥の土砂が、2㎞先の海まで流れ込んだ。気象庁によると同日までの降雨量は400mmを超え、平年の7月1カ月分の約1.7倍に達していたという。住宅被害は約130棟、7月14日時点で死者は11人に達し、今なお行方不明者16人の捜索が続いている。

土石流発生翌日に、静岡県は土石流の起点に存在した、開発行為に基づく盛り土が崩落したと発表。調査が進むにつれて、今回の土石流が人災ではないかという疑いが濃厚になっている。県などの報告によると、土地の前所有者が建設残土を申請以上に多く盛り土したことなどが明らかになってきたからだ。

もし、不法行為があったのであれば、それは厳しく対処すべきであることは言うまでもない。しかし、連日の報道に触れながら、“人災”を強調するあまり、今回の災害が特殊なものとして受け取られないかとの危惧をおぼえる。「なんだ、自然災害じゃなかったのか」という声が聞こえてくる気がするのは考えすぎたろうか。


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