住宅 脱炭素化マーケット拡大へ

2050年へのカウントダウン

PV、ZEH賃貸、100%再エネ街づくりなど2050年までの「脱炭素社会」の実現に向け、社会が大きく動き出そうとしている。
政府は2030年度までに全国で少なくとも100か所の地域で先行して「脱炭素」を達成し、多くの地域で2050年を待たずに「脱炭素」を実現する方針だ。
住宅分野でも省エネ基準適合義務化、ZEH・LCCM住宅の普及拡大、太陽光発電の導入拡大に向けた施策の検討がなされている。
こうした動きを受け、今後、住宅への太陽光発電の導入や、ZEH賃貸、脱炭素まちづくりなどの“住宅脱炭素化マーケット”が本格的に拡大していきそうだ。

国が脱炭素化へ本腰
“環境”で成長する時代に

国による脱炭素化へ向けた施策が急速に動き出している。

昨年10月26日に菅首相は第203回臨時国会の所信表明演説で”2050年カーボンニュートラル”を宣言し、今年4月22日の気候サミット前には2030年までにCO2の削減目標を26%から46%へ倍近い数値に引き上げると発表した。

住宅・建築物産業・次世代電力マネジメント産業(住宅・建築物)の成長戦略「工程表」

さらに、6月9日に開催された「国・地方脱炭素実現会議」が取りまとめた「地域脱炭素ロードマップ」では、全国に先駆けて脱炭素化の達成を目指す地域の創出を決定。2030年までに少なくとも100か所の「脱炭素先行地域」を創出し、2050年を待たずに2030年度までに脱炭素化を目指すとした。また、他の地域でも公共建築物への太陽光発電の設置を2030年には約50%、2040年には100%の導入を目指すことを掲げ、今後、国による支援を集中的に進めていく方針だ。

こうした脱炭素に向けた取組は、環境対策であると同時に経済成長への道筋でもある。
昨年12月25日に開催された第6回成長戦略会議では「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を報告。温暖化への対応を制約やコストではなく経済成長の機会と捉え、成長が期待される14の重要分野ごとに、課題や行動計画を示した。国として具体的な見通しを示すことで、民間企業の挑戦を全力で支援する狙いだ。

そして「経済と環境の好循環」につなげることで、2030年で年額90兆円、2050年で年額190兆円程度の経済効果を見込む。

グリーン成長戦略では、重点分野の一つとして住宅・建築物分野を挙げ、ZEH・ZEBやLCCM住宅の普及、省エネ改修の推進、高性能断熱材や高効率機器、再生可能エネルギーの導入などを可能な限り進めていくとした。政策による支援を行うことで自立的な普及に向けた環境を整備する。

省エネ基準適合が義務化
ZEH推進、PV導入拡大へ

住宅分野の脱炭素化に向け、具体的な施策の方向性を検討しているのが、4月に国土交通省、経済産業省、環境省の3省連携で設置した「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」(座長:田辺新一 早稲田大学創造理工学部建築学科教授)。住宅・建築分野における2050年カーボンニュートラルの実現に向けての議論を重ねている。


この記事はプレミアム会員限定記事です。
プレミアム会員になると続きをお読みいただけます。

新規会員登録

(無料会員登録後にプレミアム会員へのアップグレードが可能になります)

アカウントをお持ちの方

ご登録いただいた文字列と異なったパスワードが連続で入力された場合、一定時間ログインやご登録の操作ができなくなります。時間をおいて再度お試しください。