2021.6.8

JSHI公認ホームインスペクター

既存住宅流通の活性化を支える、住宅の「かかりつけのお医者さん」

既存住宅流通の活性化を受け、年々、重要性が高まっているホームインスペクション(住宅診断)。ホームインスペクションとは、専門知識のある第三者が、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などを見極め、依頼者にアドバイスをする専門業務である。米国では、取引の9割でホームインスペクションが関与する州があるなど、住宅の「かかりつけのお医者さん」として当たり前となっている。

日本でもここ数年、ホームインスペクションに関心を持つ消費者が急速に増えている。日本ホームインスペクターズ協会の「JSHI公認ホームインスペクター」は、消費者が主に中古住宅を売買する前に、基本的には目視、非破壊で、屋根や外壁、室内、小屋裏、床下などの劣化状態を診断し、依頼者に報告する。例えて言うと、ホームインスペクションは健康診断。万が一、不安な個所を見つけたら精密検査を提案。「検査の間口を広くとり、住宅の健康状態をまず確認する」(同協会)。ホームインスペクションは、既存住宅の売主だけでなく、買主にとってもメリットがある。例えば、既存住宅を購入しようと考えている買主が依頼したホームインスペクションで、契約前に物件の不具合が分かれば、キャンセルできるため、トラブルの未然防止につながる。

JSHI公認ホームインスペクターのテキスト

認定試験は2009年から始まった。これまでに3000人以上が試験に合格し、およそ半分が同協会に入会し、JSHI公認ホームインスペクターとして活躍している。資格取得者のうち建築士と宅地建物取引士(宅建士)でそれぞれ4割を占めるが、リフォームの営業担当者やマンション管理士など資格取得者の業種は幅広い。取得後の業務としては、中古住宅売買に伴うインスペクションはもちろんのこと、物件工事中や内覧時の建築主からの依頼、紛争案件の意見書作成などもある。収益物件調査や、漏水、地盤沈下、交通事故、落雪事故など個別の不具合調査の依頼もあり、業務は多岐にわたる。

試験は、これまで年1回だったが、2021年度はコンピュータを使った試験方式(CBT)で、3回実施。来年度以降は4回を計画する。「建築士や宅建士試験にかかっても受験できるように回数を増やした」(同協会)。

試験は50問の4肢択一試験。おおむねの出題傾向としては、住宅を主とした建築関連法規に関する知識と建築技術に関する基礎知識を問う問題(15問)、ホームインスペクションの知識(25問)、住宅不動産売買などの知識(5問)、ホームインスペクションを行うにあたり必要な倫理観やビジネススキル(5問)。総合得点が合格点以上、かつ分野別得点が基準点以上で合格となる。同協会は「例えば、重要事項説明時に宅建士がインスペクション結果を買主に説明するが、きちんと説明できないと民法上の契約不適合に問われる恐れもある。JSHI公認ホームインスペクターを取得し、しっかり知識を身に付けてもらいたい」と強調する。

試験日時第13回=2021年9月1日(水)~14日(火)の14日間より受験者による選択制
第14回=2021年12月、第15回=2022年3月 ※日付等は後日決定
受験申込手続き第13回=2021年7月1日(木)~9月11日(土)※受験日3日前まで手続き可能
第14、15回は後日決定
試験会場全国約260以上のCBT試験会場(テストセンター)から選択
受験料1万5000円
参考図書JSHI公認ホームインスペクター【住宅診断士】資格試験テキスト 令和新版(3300円)
JSHI公認ホームインスペクター(住宅診断士)資格試験2021過去問題集(3500円)

合格者の声

●建設会社勤務 Aさん

建物を調査して、内容をわかりやすく説明するというホームインスペクターの仕事は、今までやってきた建築・不動産の仕事の延長線上にあると思っています。例えば、物件の引き渡しの時に、水回りのここをちょっと注意すればいいとか、排水の仕組みを、実際水を流して見せてあげるとか、そういうホームインスペクター的な視点を持って説明やアドバイスをすると、買主さんはみんなすごく満足してくれます。これを不動産業界の営業マンがみんなやれば、クレームも減ると思いますね。

●不動産会社経営 Tさん

ホームインスペクターの資格をとったことで、個人間の取引の場合は、原則ホームインスペクション付きの仲介事業にしようということで、いろいろ準備をはじめています。仲介手数料の額は比較的大きいので、ホームインスペクションの費用は仲介手数料に含めるという形で考えています。まだ実験的なところがありますが、これでホームインスペクターが広がっていくのであれば面白い展開になると考えています。


お問い合わせ

特定非営利活動法人 日本ホームインスペクターズ協会
011-688-7913
https://www.jshi.org/

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ハウジング・トリビューンVol.624(2021年14号)

特集:

巨大な潜在市場が動き出す

2015年のいわゆる「空家特措法」施行から6年が経過する。
国は大きく利活用と除却の二方面から、制度改正や補助事業などを通じて空き家対策を進めてきた。
発生の抑制や除去などに一定の効果が出ているが、利活用についてはなかなか火がつかなかった。
空き家問題には数多くの課題が横たわる。
今、こうしたその散在した課題を解決するサービスが続々投入されている。
さらに、コロナ禍は空き家市場にとってマーケット拡大のきっかけになる。
テレワークの普及により、多拠点居住や多拠点ワークを行う「場」として空き家に関心が高まっているからだ。
今年3月に閣議決定された住生活基本計画でも、空き家の活用を「新たな日常」に対応した新しい住まい方の実現の1つに挙げている。
また、6月18日に閣議決定された骨太の方針でも空き家について言及。
「先進的取組や活用・除却への推進等の支援」などをしながら、既存住宅(ストック)市場の活性化に結び付ける考え方を明確にした。
こうした空き家への関心の高まりを追い風に、いよいよ空き家マーケットの誕生の期待が高まる。
国が掲げる2030年に14兆円のストック市場の実現可能性が見えてきた。

目次

HTʼs eyes

土石流が人災であったとしても
大規模盛土造成地の点検スピードアップを

ストック市場のけん引役になるか
空き家ビジネス
巨大な潜在市場が動き出す

TOPIC&NEWS

YKK AP、木製内窓の促進をサポート 木製窓展開の布石に
ミサワホーム、2030年に向けた実証住宅を建設
日本モバイル建築協会が発足、"移動式"の仮設住宅の普及に弾み

スマカチ通信2021 No.17「住宅業界のためのオウンドメディア講座」

INTERVIEW

長谷川萬治商店/長谷萬 代表取締役 執行役員社長 長谷川泰治 氏
木が求められる時代に材木屋を再定義
感動を与えられる商品・サービスを充実

CLOSE UP

三井ホーム 中大規模木造マンションブランドを創設
積水化学工業住宅 カンパニー 脱炭素と災害対策が付加価値の街づくりを強化
ビスダックジャパン パネルを活用した木造システム工法を開発

脱炭素化でギアチェンジ
加速する住宅省エネ化 動き出す断熱材市場

中央住宅 敷地とエネルギーをシェア 脱炭素社会を目指す暮らし価値を創造

リンナイ 入浴に新たな価値を! さらに上質なお風呂時間を実現

連載

[国産材を活かす㉓]『ウッドショック』下の木材利用③
林材ライター 赤堀 楠雄 氏

トヨタホーム 首都圏郊外での戸建分譲開発を推進
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2019.12.25