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2021.6.1

3省連携の住宅脱炭素化検討会でたたき台

省エネ基準適合義務化へ、PV設置義務化も検討

国土交通省、経済産業省、環境省は3省連携で有識者検討会を設置し、2050年の脱炭素化に向け、住宅分野での抜本的な施策の議論に着手した。第3回の検討会では、取りまとめに向けてのたたき台が示され、省エネ基準の適合義務化や、現行基準の段階的な引き上げが盛り込まれた。また、太陽光発電の設置義務化に向けた議論も行われた。


2020年10月に、菅政権が「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、我が国の脱炭素施策が大きく動き出した。住宅関連についても、河野太郎・内閣府特命担当大臣(規制改革)のもと設置された「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」で、省エネ基準への適合義務化の必要性が委員から提言されるなど、大きな役割を担う。3月に閣議決定した「住生活基本計画」の内容には、2050年の住宅分野での脱炭素化に向けて、バックキャスティングで行うべき施策のロードマップを策定することが盛り込まれた。

こうした流れの中で、4月、国土交通省、経済産業省、環境省の3省連携で「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」(座長:田辺 新一 早稲田大学創造理工学部建築学科教授)が設置、住宅・建築分野での2050年カーボンニュートラルの実現に向け、様々な面からの抜本的な議論に着手した。

検討会では、「住宅・建築物における省エネ性能を確保するための規制的措置のあり方・進め方」、「より高い省エネ性能を実現するための誘導的措置のあり方」、「既存ストック対策としての省エネ改修のあり方・進め方」、「新築住宅等への太陽光パネル設置義務化の意見」などの論点について検討し、住宅・建築分野における脱炭素化の施策の全体的な方向性を示す。そしてその内容に基づき、国は2050年の住宅分野での脱炭素化に向けて、バックキャスティングで行うべき施策のロードマップを策定する方針だ。

5月19日、第3回目の「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」が開催され、取りまとめに向けてのたたき台が示された(内容は左表参照)。

たたき台では、「住宅・建築物における省エネ性能の底上げ(ボトムアップ)の取組について」の項目に関連し、新築住宅での省エネ基準への適合義務化が盛り込まれ、委員からも「普及啓発では2050年の脱炭素化に間に合わない、義務化が必要」と、概ね賛同を得た。

ただし、義務化の仕方については、「一刻も早く義務化しないといけない」とする意見があった一方で、中小工務店の半数以上が対応できていないことや、消費者の住宅取得コストに追加負担が生じることを懸念し、「まずは誘導策を行うなどして、慎重にステップを踏んでから」との指摘もあった。また、消費者の住宅取得コストへの追加負担については、「例えば省エネ基準に適合した住宅を対象としたフラット35などの住宅ローンを設けたり、税制優遇を行い、インセンティブを与えることが重要」との意見も出された。

たたき台には、現行の省エネ基準を段階的に引き上げることも盛り込まれたが、委員からは「現行基準では足りない。ZEHレベルに断熱基準を引き上げていくことが必要」「HEAT20のG2以上にすることが必要」といった意見が挙がった。

「再エネ・未利用エネルギーの利用拡大に向けた住宅・建築物分野における取組について」の項目では、ZEHへの支援やPPAモデルの定着に向けたPPA事業者と住宅事業者・建設事業者との連携を進めるなどの施策が盛り込まれた。第一回目の検討会では、再エネ関連施策については、新築住宅への太陽光発電パネルの設置義務化も検討項目に挙げられたが、その是非で委員の意見が分かれたため、今回のたたき台では、義務化するか否かは一度保留された。

第三回の検討会では、「早々に義務化すべき」、「消費者の負担が大きいため、義務化には反対。まずは公共建築物で進めるべき」、「義務化はすぐには困難だが、将来的な義務化を念頭に置いて、工程表の作成などの義務化に向けた土壌づくりを今から行うべき」など、様々な意見が出た。

検討会は第3回の議論を踏まえて6月3日にとりまとめの骨子案を策定、6月下旬をめどに取りまとめを行う予定だ。今後の住宅省エネ化の行方を大きく左右するだけに、検討会の議論に注目が集まる。

国の住宅分野の脱炭素施策の方向性(たたき台)

項目取り組みの方向性
①2050年カーボンニュートラルの
実現に向けた取組を進めるに当たって
◯国民・事業者等の行動変容を促すための普及啓発
②住宅・建築物における省エネ対策の強化◯新築の住宅・建築物の平均でZEH・ZEBの実現
③住宅・建築物における
省エネ性能の底上げ(ボトムアップ)の取組
◯新築に対する各種支援措置について省エネ基準適合を要件化(誘導措置)
◯供給側の体制整備や基準の簡素化等による手続負担軽減
・中小事業者に対する地域の実情を踏まえた断熱施工に関する実地訓練を含む技術力の向上の取組
・基準の簡素化の検討
◯住宅も含めた省エネ基準への適合義務対象範囲の拡大(規制措置)
・個人を直接規制する分野については財産権への影響も踏まえて検討
◯2030年新築平均ZEH・ZEBの目標を踏まえ、(ボリュームゾーンのレベルアップを経て)省エネ基準の段階的な引き上げ
・用途別の実態等も踏まえて大規模建築物から検討
④住宅・建築物における省エネ性能の
ボリュームゾーンのレベルアップの取組
◯ZEH・ZEBの取組拡大
・誘導目標(建築物省エネ法に基づく誘導基準や長期優良住宅、低炭素建築物の認定基準)をZEH・ZEBレベルの断熱・一次エネルギー性能に引上げ、整合化
・ZEH・ZEB等の取組拡大に向けた支援措置の重点化
◯住宅トップランナー制度の充実・強化
 ・分譲マンションの追加と目標の見直し
⑤省エネ性能表示の取組 ◯建築物について、環境性能を踏まえた投資や融資の取組の進展を踏まえた情報開示の導入、既存ストックの省エネ性能向上につなげる省エネ性能に関する情報開示の検討
◯住宅について、新たに販売又は賃貸をしようとする際の広告等における省エネ性能に関する表示制度の導入
◯既存物件について、建築時の性能が不明なものがあることも踏まえた合理的な評価方法の整備
⑥既存ストック対策としての
省エネ改修のあり方・進め方
◯省エネ性能に優れリフォームに適用しやすい建材等の開発・普及
◯耐震性がなく省エネ性能も著しく低いストックについては建替えを支援
◯省エネ改修に対する支援の拡充
◯耐震性のある住宅ストックについては部分的な省エネ改修の取組の支援
◯自治体等と連携した省エネ改修の促進
⑦再エネ・未利用エネルギーの
利用拡大に向けた
住宅・建築物分野における取組
◯国や地方自治体等による新築・既存建築物等における太陽光発電設備設置の率先した取組
◯民間の住宅・建築物における太陽光発電設備設置の取組を促進
 ・ZEH・ZEB等に対する支援(再掲)
PPAモデルの定着に向けたPPA事業者と住宅事業者・建設事業者との連携
◯関係省庁、関係業界が連携し、各主体が設置の適否を検討・判断できるよう、適切な情報発信・周知の取組
◯太陽光パネルの軽量化・発電効率の向上等の技術開発の促進

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ハウジング・トリビューンVol.628(2021年19号)

特集:

住産業はどう対応する?

社会が大きく変わりつつある。
環境対策は待ったなしの緊急課題で、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが急展開している。
少子高齢化は、わが国の人口構成を大きく変え、これまでになかった社会を迎えつつある。
また、地震や台風などの自然災害の激甚化・頻発化は気候変動への対策とあわせ、その対策が強く進められつつある。
さらにコロナ禍は、働き方改革やデジタル化を好むと好まざるとにかかわらず、強制的に進めることになった。
こうしたなかで人々の暮らしも変わりつつある。
生活を支える住産業は、こうした変化にどのように対応していくのか──。
各省庁がまとめた白書をベースに、さまざまなデータを紐解いた。

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