2020年度住宅新商品レビュー 激動の時代に住宅も対応

コロナ対応、災害対策、脱炭素、平屋需要など

2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大、災害の激甚化・頻発化、脱炭素社会へのシフトなど、時代が大きく変化したが、これに伴い、ハウスメーカーの発売する住宅新商品にも大きな変化があった。激動の2020年度、どういった住宅新商品が発売されたのか──、その動向を読み解く。

新しい生活様式への対応が標準に

2020年度、住宅新商品の開発に最も影響を与えたことは、言うまでもなく新型コロナウイルスの感染拡大であった。
新型コロナウイルス感染拡大への対策として、3密回避、手洗い・手指消毒、テレワークといった「新しい生活様式」(ニューノーマルな暮らし)への対応が求められ、2020年5月には政府の感染症専門家会議から、新しい生活様式を具体的にイメージできるよう、日常生活の中に取り入れる実践例も示された。

住宅は人々が多くの時間を過ごす場所であり、新しい生活様式への対応が必須。こうしたことから、ハウスメーカーは新しい生活様式に対応した住宅を次々と発表した。

積水ハウスは同社・住生活研究所の調査結果を踏まえながら、2020年8月に新しい生活様式に対応したライフスタイル提案を盛り込んだ戸建住宅の新コンセプトモデル「ファミリー スイート おうちプレミアム」を発売した。

大空間のLDKの一部を仕切ることでテレワークスペースを作るなどの在宅ワークの提案を実施。大空間を生かしたフィットネススペースに加え、2015年から共同研究を行っているアシックス監修の住まいでできる運動プログラムも公開し、健康の維持・増進をサポートする。また、大空間LDKの一部を区切るなどしてつくるバー空間「うち de バル」を設け、一般的な住宅向けとは異なる「仕上げ」「照明」「家具」などで、隠れ場的なバーのような「非日常感」を演出し、夫婦⼆人の時間をお酒や肴とともに楽しむ暮らしを提案する。

ミサワホームは2020年7月に、ニューノーマルな暮らしを楽しめる自由設計の注文住宅「PRIME SMART(プライムスマート)」を発売。在宅勤務・学習を快適に行える空間や感染症予防の提案など、ニューノーマル時代に安心して暮らしを楽しむための工夫やアイデアを盛り込んだ。

さらに同社は、「PRIME SMART」の販売が「想定以上の反響」(作尾徹也専務)だったことから、2021年1月に「PRIME SMART」で提案しているニューノーマルの要素を企画住宅として凝縮させた企画型住宅「SMART Brands WS(スマートブランド ダブリューエス)」を発売。企画住宅とすることで価格を2000万円台に抑え、郊外の分譲住宅を求める一次取得者層などに展開し拡販を狙う方針だ。「SMART Brands WS」では、3つの「ニューノーマルデザイン」を提案。このうち、「ステイデザイン」では、約3mの高天井と高窓による開放感のあるLDKや、医療施設の設計手法を応用した感染症予防のためのゾーン分けを提案し、家での時間が多くなるこれからの時代に対応する。

積水化学工業 住宅カンパニーは、2020年7月に新しい生活様式への対応力を高めた「レジリエンス 100 STAY&WORK モデル」を発売。新しい生活様式では感染予防のために、屋内のこまめな換気が求められているが、窓開け換気では夏は熱い空気が、冬は冷たい空気が室内に入り、冷暖房効率が悪化する。こうしたことから、熱交換を行う同社の換気・全室空調システム「快適エアリー」を標準採用し、コロナ禍でも快適に換気できるようにした。

ミサワホームの「SMART Brands WS」では、様々なテレワークプランを提案

複数のテレワーク空間提案も


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