浸水危険エリアの住宅建築が許可制に
浸水時も強固な地盤・建物の証明求める
頻発化・激甚化する水害に対する取り組みを強化するため、「流域治水関連法案」が2月2日、閣議決定された。災害時に浸水リスクが高いエリアに住宅や高齢者施設を建設する場合は許可制とすることなどが盛り込まれ、住宅・不動産事業者には今後、対応が求められてきそうだ。
昨年、熊本県を中心に九州や中部地方など日本各地で発生した「令和2年7月豪雨」や、全国的に大きな被害をもたらした一昨年10月の「令和元年東日本台風(台風19号)」など、毎年のように水害が発生している。また、もたらす被害の大きさもこれまでにないものになってきており、現行の治水対策では我が国の水害に対応できなくなってきた。
こうしたことから、国はハード整備の加速化や治水計画の見直しに加え、上流・下流や本川・支川の流域全体を俯瞰し、流域自治体、企業、住民などのあらゆる関係者が協働して取り組む「流域治水」をより一層推進するため、「流域治水関連法」を整備する。
同法案では、災害時に浸水リスクが高いエリアとして、新たに「浸水被害防止区域」を設定し、住宅・事業者不動産などが同区域に、住宅や要配慮者施設など(老人ホームや学校、医療施設など)を新たに建築する際は、都道府県に対し浸水被害の安全性を証明し許可を得ることを義務付ける制度の創設を盛り込んだ。
「浸水被害防止区域」は、「河川の整備を行っても、なお浸水リスクが高いエリアを想定している」(国土交通省)としており、具体的なエリアは今後、特定都市河川法で指定する。
「浸水被害防止区域」での建築許可を受けるために必要な条件の一つは、地盤に関するもの。事前に地盤を調査し、仮に浸水したとしても崩れない強固な地盤であることを証明することを求める。また、建物でも、浸水しても倒壊しない構造にするとともに、想定される浸水の高さよりも高い場所に、居室や寝室を設けることを求める。
また、法案では、浸水リスクの高いエリアからの住民の移転促進を図るため、「防災集団移転促進事業」のエリア要件の拡充も行う。
同事業は、災害で大きな被害が発生するとみられる危険なエリアに住む居住者の安全なエリアへの集団移転を促すため、市町村が行う住宅団地の整備等に対し事業費の一部を補助するもの。これまで同事業の対象は、すでに災害で被害を受けたエリアだったが、法案では新たに「浸水被害防止区域」も加える方針だ。
さらに、法案では、貯水槽や雨水浸透ますといった雨水を貯留・浸透させる施設や設備の住宅への導入に対し、支援制度や税制上の優遇を設けることも盛り込んでいる。
特定都市河川法で定める流域エリアでは、導入費用の2分の1、それ以外のエリアでは3分の1を補助する。固定資産税の減免も行う方針。「流域治水関連法案」の内容は開催中の通常国会の議論を経て、成立すれば6ヶ月以内に施行される予定だ。
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