新・住生活サービスへのパラダイムシフト
新型コロナウイルス、デジタルテクノロジー、新交通など社会がドラスティックに変化しつつあるなか、人々の暮らしも大きく変わりつつある。
これまで暮らしのなかでのニーズや困りごとに対して、さまざまな住生活サービスが提供されてきた。
しかし、社会環境や生活スタイルが大きく変わり、また、さまざまな分野での技術革新が進むなか、住生活サービスにおいてもパラダイムシフトが起こっている。
今、どのようなサービスが求められ、急成長しつつあるのか──。
6つの新・生活サービスを追った。
【“名もなき家事”をサポート】在宅時間の増加で新種の家事が増殖 最先端の家電製品とマンパワーが暮らしを支える
2021年早々に新型コロナウイルスの感染拡大に伴う2度目の緊急事態宣言が発出された。さらにテレワークの普及が進むとみられるが、それが浸透すると同時に増えるのが「家事」だ。最先端の家電や生活サービスが家事負担を軽減する。
女性の家事の長時間化がコロナで加速
リンナイの実施した調査によると、コロナによる外出自粛の影響による勤務時間の短縮、在宅勤務などによって在宅時間が増えた人は過半数に上った。在宅時間の増加に伴い家事時間も増加し、コロナ以前に比べ、男性が約40分、女性が約20分増えたという。女性より男性のほうが家事時間は2倍に増えたが、ちょっと注意が必要だ。もともと男性は家事時間が少なく、コロナ前「1.66時間」だったものが「2.35時間」に。一方、20分の増加となった女性は、これまで「4.76時間」だったものがコロナ後「5.12時間」と、さらに“長時間化”していることがうかがえる。
家事時間の増加への対応として、コロナ以前よりもパートナーと家事の分担をするようになっている。リンナイの調査では、全体の約6割の人が家事の分担をするようになったことが判明。男女別にみると、男性は約7割、女性は過半数の方が分担するようになったと感じると答え、在宅時間の増加によって家事の分担率が上がっている。
ところが、洗濯や食事用意など一般的にイメージされるものだけが家事だけではない。食事の献立を考えたり、シャンプーや洗剤の補充をしたり、排水溝のつまりを取ったりするなど、見えにくい家事が家の中にはたくさんある。これは「名もなき家事」とも呼ばれる。この「名もなき家事」という言葉を広めた大和ハウス工業の多田綾子東京本社住宅事業本部事業統括部事業戦略グループ(名古屋駐在) 上席主任は、「コロナ禍でさらに、名もなき家事が増殖している」と指摘する。
箱の片付け、消毒液の残量確認…
新たな家事が発生
それでは、どんな「名もなき家事」が増えているのだろうか。大和ハウス工業が実施したアンケートの質問「新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言以降、家族全員が常に家にいることで、あなたにどんな『名もなき家事』が増えましたか」を見ると、増殖する名もなき家事の姿が見えてくる。
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