どうなる2021年の住宅マーケット⑤

コロナ対策市場 / 住宅生産合理化・省施工化市場 / 防災市場 / シェアリングエコノミー市場

2021年の幕が上がった。
コロナ一色であったといっていい2020年を経て、新たな年はどのような一年になるのだろうか。
人口減少、少子・高齢化、環境対策への強い要請など社会的な環境変化に加え、新型コロナウイルスの蔓延は住生活産業に劇的な変化を促そうとしている。
新設住宅着工はいよいよ70万戸時代に突入しそうで、新築をベースとした市場はその姿を大きく変えつつあり、既存住宅の取引量が増大している。
また、東京一極集中にストップがかかり、郊外への移住が顕在化し始めた。
一方、環境対策や自然災害対策などにより、省エネや耐震など住宅の性能向上はこれまで以上に強く求められそうだ。
特に空き家問題も踏まえ、既存住宅の利活用、更新が大きな課題となっている。
戸建からマンション、既存住宅流通、移住住替え、省エネや災害対策など、成長の鍵はどこにあるのか──。

  1. インタビュー(住宅市場 / ストック市場 / 防災対策 /コロナ対策 / 住宅生産の合理化・省施工化 / 新しい暮らし方・住まい方)
  2. 戸建住宅市場 / 賃貸住宅市場 / 分譲マンション市場 / リフォーム・リノベーション市場
  3. 空き家市場 / 既存住宅流通市場 / 移住・住み替え市場 / 高齢者住宅市場
  4. 省エネ住宅市場 / 不動産テック市場 / 中大規模木造市場 / 国産材活用市場
  5. コロナ対策市場 / 住宅生産合理化・省施工化市場 / 防災市場 / シェアリングエコノミー市場


【コロナ対策市場】抗ウイルス、換気で室内感染のリスク低減 コロナ収束後もニーズ定着か

新型コロナウイルスの感染経路である、飛沫感染、接触感染、空気感染のリスクを低減するため、2020年は、住まいづくりにおいて「抗ウイルス」、「換気」などの対策への注目度が急上昇した。安心・安全の観点から2021年、コロナ収束後もニーズは定着していきそうだ。

抗ウイルス建材の分野で存在感を高めているのはアイカ工業だ。2019年1月に、メラミン化粧板に抗ウイルス機能を付与した「アイカウイルテクト」を発売。ウイルテクトシリーズを使用することで、清掃後にウイルスが付着しても、製品上の特定ウイルスの数を減少させる効果を発揮する。また、消毒に用いる次亜塩素酸で変色せず、抗ウイルス機能が落ちない機能も付与した。第三者の研究機関で実施した試験で、新型コロナウイルスに対する抗ウイルス効果が確認された。

大建工業は2011年に抗ウイルス建材の開発に着手し2012年、建材業界初となる抗ウイルス機能「ビオタスク」技術を確立。未加工品と比較して、製品上に付着した特定ウイルスの数を24時間で99%以上減少させる効果を発揮する。カウンターや壁材などへと採用部位を拡大し、着実に実績を積み上げてきた。コロナ禍を経て需要が高まっていることから、高齢者施設や幼稚園・保育園、公共・商業施設などのドアノブ、引戸などに「ビオタスク」対応商品を追加。レバーハンドルについては、同社主力の住宅用内装建材「ハピア リビングドア」の標準仕様とデザインを共通化しており、「ビオタスク」仕様の製品に切り替えられる。

関西ペイントは、2007年に消石灰塗料化技術を活用した「漆喰塗料」を開発。2016年には、長崎大学 感染症共同研究拠点 安田二朗教授との共同実証試験を通じ、漆喰塗料がインフルエンザなどの4種類のウイルスにおいて、99%以上の不活化効果があることを確認していたが、新型コロナウイルスでも検証するため、安田教授と共同実証試験を実施、その結果、漆喰塗料が新型コロナウイルスでも99%以上を不活化する効果を確認した。商品開発も推進する。これまで同社は壁に塗る漆喰塗料に加え、漆喰をコーティングした「接触感染対策テープ・シート」の提案を行ってきたが、こうした動きを進め、2020年11月にはマットに漆喰をコーティングした「ウイルス対策マット」を発売。漆喰を紙やダンボール製の簡易トイレ・ベッド、フェイスシールド、マスクなどにコーティングした製品開発も進める。


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