2020.12.22

地盤ネット、新しい時代の地盤調査「地盤2.0」へ

微動探査、事前地盤調査予測などを普及

「住宅地における新時代の地盤調査法」をテーマに、メディア向け説明会を開催。想定外の地盤トラブルが頻発する中で、「微動探査」や、事前に調査地の地盤調査予測ができる新しいサービスの普及を目指す。


大地震が発生するたびに、不動沈下や液状化被害など地盤トラブルが発生するケースは珍しくない。また近年は、従来は想定できなかった住宅地の地盤トラブルも発生している。

SWSエキスパートのフロー

2020年10月18日、東京都調布市つつじが丘で、トンネル工事のルート上の市道で陥没事故が発生した。東日本高速道路(NEXCO東日本)が原因究明の調査を進めているが、地盤ネットでは、住宅地盤の専門家として、新しい戸建て住宅の地盤調査方法「微動探査」を用いて現地で独自調査を行った。住宅の敷地に微動探査システムという非破壊検査機を置き計測することで、敷地単位でその場所が他の場所よりも揺れやすいのか、揺れにくいのかをピンポイントで把握できる。また、S波速度を計測することで層構造、支持地盤の分布状況を把握することも可能だ。陥没現場の付近のA、B、Cの3カ所に微動探査システムを置き、調査したところ、地表付近に空洞らしき現象は確認できなかった。なお、A地点では、深さ40m程度まででS波速度が切れ、他のB、Cの2点はもっと深く見えていることから、A地点ではGL‐40程度に空洞がある可能性があるという。

同社の伊東洋一代表取締役は、「2000年4月に品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)が施行され、戸建住宅の地盤調査方法が法律により標準化された。しかしこの20年の間には、度重なる自然災害や今回の調布市のように、住宅地となった当時には想定できなかった事故など、一般的な地盤調査だけでは防ぐことのできない事例が後を絶たない。2000年代の『地盤1.0』から、時代環境の変化に対応できる『地盤2.0』へ調査手法も展開する時期に来ている」と指摘する。

同社は、「地盤2.0」へ、地盤調査手法の転換を図る取り組みの一環として、2020年11月、住宅地盤の調査前に調査地の地盤調査予測ができる「SWSエキスパート」システムの提供を開始した。

「これまでの戸建ての住宅地盤調査は、実際に計測後にしか結果がわからず、住宅建築を目的とした土地購入者や住宅建築事業者は、結果によっては、地盤調査後に多額の改良工事費用の追加が発覚したことで、予算の変更や、建築予定のプランをやむをえず変更するなどの不利益を被ることがあった」(同社)。

そこで同社は、各種地図データによるスクリーニングなどにより、ある程度の調査結果の予測ができる事業者向けサービス「地盤安心マップ®PRO」を2016年から提供している。

今回、この「地盤安心マップ®PRO」の機能を拡張し、同社の過去5万件以上にわたり蓄積した、地盤調査SWSデータを自動分析し、計画地の改良工事診断と概算工事費用の予測が可能なシステム「SWSエキスパート」の公開を開始した。「これまで蓄積した地盤ビッグデータと、地盤安心マップ®PROの40種類以上の地図データの活用により、住宅建築時に起こりうる想定外の予算オーバーの防止をこのシステムにより実現していきたい」(同社)考えだ。

Housing Tribune最新刊

住宅産業総合誌「ハウジング・トリビューン」は隔週金曜日発売。年間購読者には電子版News Report「Housing Tribune Weekly」を配信しています。

ハウジング・トリビューンVol.624(2021年14号)

特集:

巨大な潜在市場が動き出す

2015年のいわゆる「空家特措法」施行から6年が経過する。
国は大きく利活用と除却の二方面から、制度改正や補助事業などを通じて空き家対策を進めてきた。
発生の抑制や除去などに一定の効果が出ているが、利活用についてはなかなか火がつかなかった。
空き家問題には数多くの課題が横たわる。
今、こうしたその散在した課題を解決するサービスが続々投入されている。
さらに、コロナ禍は空き家市場にとってマーケット拡大のきっかけになる。
テレワークの普及により、多拠点居住や多拠点ワークを行う「場」として空き家に関心が高まっているからだ。
今年3月に閣議決定された住生活基本計画でも、空き家の活用を「新たな日常」に対応した新しい住まい方の実現の1つに挙げている。
また、6月18日に閣議決定された骨太の方針でも空き家について言及。
「先進的取組や活用・除却への推進等の支援」などをしながら、既存住宅(ストック)市場の活性化に結び付ける考え方を明確にした。
こうした空き家への関心の高まりを追い風に、いよいよ空き家マーケットの誕生の期待が高まる。
国が掲げる2030年に14兆円のストック市場の実現可能性が見えてきた。

目次

HTʼs eyes

土石流が人災であったとしても
大規模盛土造成地の点検スピードアップを

ストック市場のけん引役になるか
空き家ビジネス
巨大な潜在市場が動き出す

TOPIC&NEWS

YKK AP、木製内窓の促進をサポート 木製窓展開の布石に
ミサワホーム、2030年に向けた実証住宅を建設
日本モバイル建築協会が発足、"移動式"の仮設住宅の普及に弾み

スマカチ通信2021 No.17「住宅業界のためのオウンドメディア講座」

INTERVIEW

長谷川萬治商店/長谷萬 代表取締役 執行役員社長 長谷川泰治 氏
木が求められる時代に材木屋を再定義
感動を与えられる商品・サービスを充実

CLOSE UP

三井ホーム 中大規模木造マンションブランドを創設
積水化学工業住宅 カンパニー 脱炭素と災害対策が付加価値の街づくりを強化
ビスダックジャパン パネルを活用した木造システム工法を開発

脱炭素化でギアチェンジ
加速する住宅省エネ化 動き出す断熱材市場

中央住宅 敷地とエネルギーをシェア 脱炭素社会を目指す暮らし価値を創造

リンナイ 入浴に新たな価値を! さらに上質なお風呂時間を実現

連載

[国産材を活かす㉓]『ウッドショック』下の木材利用③
林材ライター 赤堀 楠雄 氏

トヨタホーム 首都圏郊外での戸建分譲開発を推進
アイダ設計 省エネ性能の説明義務化を契機に提案力向上へ
ケイアイスター不動産 賃貸併用住宅の提案を開始
日鉄興和不動産 新たな暮らし方を探索 社内にシンクタンク
(一社)不動産テック協会 コロナ禍でVRなどを使ったサービス増える
LIXIL ドイツ・プロファイン社と樹脂窓を共同開発
大日本木材防腐 高耐久木材「和錬」を開発
サンワカンパニー トレーラーハウス「モバイルクラスコ」を発売
発泡スチロール協会 EPS×木外装で木軸の防火30分認定
クラス ホームステージングサービスで賃貸への提案強化

関連記事

2019.12.25
2019.6.18

創立30周年 更なる飛躍へ 住宅の安全をワンストップでジャッジ

ジャパンホームシールド 代表取締役社長 斉藤武司 氏