創立30周年 更なる飛躍へ 住宅の安全をワンストップでジャッジ

ジャパンホームシールド 代表取締役社長 斉藤武司 氏


新築、リフォーム、既存住宅まで関与

住宅の地盤調査・解析事業を展開するジャパンホームシールドが、創立30周年を迎える。斉藤武司代表取締役社長は「基幹の地盤関連業にとどまらず、新築から、リフォーム、既存住宅まで、住宅サイクルの中で提供できるサービスを増やし、住宅の安心をワンストップでジャッジできる会社へと成長させたい」と話す。

ジャパンホームシールド 代表取締役社長 斉藤武司 氏

──創立30周年を振り返り、ターニングポイントとなった出来事などを教えてください。

当社が地盤調査業務を開始した1993年当時、住宅地盤は重視されておらず、地盤調査はほとんど行われていないという状況でした。大きな転機となったのは、2000年に施行された住宅品質確保促進法(品確法)です。住宅の品質や性能の確保を目的として、住宅事業者に住宅瑕疵担保責任が義務付けられました。地盤に関する安全基準も強化され、建物だけでなく、建物を支える地盤にも注目が集まり、地盤調査の重要性が高まっていったのです。さらに2009年の瑕疵担保履行法により、地盤調査を実施する動きに拍車がかかりました。こうした環境整備が進んできましたが、地盤に起因する住宅の不具合はいまだになくなっていません。

当社は、業界に先駆けて地盤調査から解析、品質保証までをトータルで行う「地盤サポートシステム」を提供し、実績を重ねてきました。このサービスでは、調査と改良工事を提携会社に委託・管理し、解析・保証という中核の部分を当社が担っています。

当社独自の地盤調査法として開発し、2010年から提供を開始したスクリュードライバーサウンディング(SDS)試験も、地盤調査・解析事業を伸ばすうえで大きな推進力となっています。現在、広く普及しているスウェーデン式サウンディング(SWS)は、「点」で地盤の状況をみる、いわば簡易手法で、地盤の状況を知るには限界があります。対してSDS試験では、SWS試験のデータ結果に、ロッドを回す力や、沈下量、ロケーションなどを加味して、地盤を解析することで、「ローム層」「砂質土」「粘性土」「盛土」といった土質の判別をすることができます。これにより、不同沈下を起こす可能性をより高い精度で判定でき、住宅を沈下させない適切な地盤対策を導き、コストの削減にも寄与します。

過去の160万棟以上に上る日本全国の地盤調査の累積データも当社独自の強みです。過去の実例から、地盤リスクの高いエリアをある程度、把握することが可能です。ロケーションも、リスクを調べるうえで需要な判断材料になります。当社では、過去にどのようにその土地が利用されていたのかがわかる旧版地形図などもシステムに組み込み解析しています。こうした当社独自の解析のノウハウを住宅事業者から評価いただき、地盤調査・解析実績が伸びています。どのような地盤なのか、なぜ地盤対策が必要なのか、お施主様へ説明する際に、当社が行った地盤調査・解析の根拠を報告書として示すことで、納得してもらいやすいという評価をいただいています。最近ではハウスメーカーから採用されることも増えています。2018年度の実績は約13万棟で、木造とプレハブを合わせた住宅着工戸数51万戸のうち、約25%のシェアを占めています。

──今後の会社の舵取りについてお聞かせください。

基幹の地盤関連業にとどまらず、新築からリフォーム、既存住宅の売買まで、住宅サイクルの中で提供できるサービスを増やし、住宅の安心をワンストップでジャッジできる会社へと成長させたいと考えています。

具体的には地盤事業に関連して、宅地造成や地盤も考慮した設計、さらに基礎設計サポートなどサービスの拡充を図っていく方針です。

宅地造成については、分譲住宅などある程度の規模のエリアを開発する際には、造成前に私たちが入り、そのエリアを面として地盤調査・解析することで、どのような素性の地盤なのかどのような補強が必要か把握でき対策を打つことが可能になります。造成後に一棟一棟、地盤補強を行うよりもコスト、工期の削減効果が期待できます。今後、この取り組みを強化していきます。

また、住宅を建てる前に構造計算により、建物・基礎・地盤の相互検討を行い、建物荷重に応じて最適な基礎と杭の配置を設計することで、より高い安全・安心を提供できます。すでに当社では地盤改良設計サービスとして「B‐STR(ビーストラ)」を展開しています。安全性を保ちながら、コスト削減にもつながるため、非常に喜ばれています。

地盤関連事業以外では、建物検査事業に注力しています。2003年に新築住宅の建物検査業務、2012年に既存住宅検査業務を開始し、2019年3月に建物検査戸数は累計20万戸を突破しました。

2018年4月に施行された改正宅地建物取引業法では、不動産売買取引時にインスペクションの説明をすることなどが義務化されました。2018年度の建物状況調査数は前年比1・4倍と伸長しました。今後もニーズが高まることが予測されます。そこで2018年から、不動産事業者向けに建物状況調査に関するオンラインサービスをスタートしました。

また、事業者の差別化が図れるように、独自のサービス開発にも取り組んでいます。例えば、既存住宅の建物検査業務では、インスペクションの基準が定められているため、なかなか差別化を図ることが難しい。そこで、既存住宅の建物検査で、不具合があった場合、短時間、低コストで補修するサービスを開始し差別化を図っています。本格的なリフォーム前に見つかった小さな不具合を直してほしいというニーズに対応したサービスで、一部のエリアで提供しています。

そのほか、既存住宅の維持管理対策として定期点検、売買時のインスペクションや既存住宅設備保険などのサービスを充実させていきます。

こうした住宅の安全をワンストップで提供するサービスは、住宅事業者や不動産事業者にも大きなメリットをもたらします。住宅により高い性能が求められる中で、資材や工事の質を下げてコストダウンを図ることは難しく、高収益化を狙うには住宅サイクルの中で、いかに無駄をなくしていくかが課題になっていくでしょう。それだけにワンストップサービスがこれまで以上に求められるようになると考えています。

──2017年には、御社などが中心となり、(一社)全国住宅技術品質協会(全住品)が設立されました。

全住品は、住宅サイクルのあらゆる場面で、高品質で安心な住宅づくりに寄与するサービスをワンストップで提供できる仕組みを業界全体で構築したいという想いで立ち上げた組織です。

①地盤調査・改良工事②建物検査③測量という3つの業種の垣根を越えて422社が参加し、検査技術と品質の向上に努めるとともに、全国一律、同じ品質で検査サービスを提供できる体制を整備しています。

それぞれの業界のプロがまとまり、リスク情報を伝え、併せて、どのような対策が有効かをお客様に対してしっかり伝えていくことが今後ますます重要になっていくと考えています。

地盤調査・改良工事、建物検査、測量という3つの業界共通の課題として、人材の確保・育成にも取り組んでいます。外国人就労者も日本で長く安心して働き続けられるよう、業界全体で環境整備を進めていきます。

──改めて、創立30周年を機に、今後の抱負をお聞かせください。

30周年を記念して会社のタグラインと周年ロゴを発表しました。あらかじめ用意した複数の候補の中から社内で投票を実施し、「建てるを支える。住まうを想う。」というタグラインと地盤調査・構造設計・建物検査のプロとして事業者様をサポートしてきた30年を表現した周年ロゴに決定しました。

新しいタグラインと周年ロゴを活用して、住宅サイクルの全体で、建てる人、住まう人を想い、安全・安心を高めていきたいというジャパンホームシールドの方向性を、社内外に発信していきたいと考えています。


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