多様化する住宅ローン選びに対応 働き方改革と顧客満足度向上を実現

iYell 取締役執行役員 小林紀雄氏

住宅ローンテックのiYellが提供する住宅ローン業務効率化サービス「いえーる ダンドリ」が注目を集めている。導入事業者は2500社を超え、その勢いは加速するばかりだ。iYell小林紀雄取締役執行役員に、同サービスが注目を集める理由や今後の展望について聞いた。


──「いえーる ダンドリ」のサービスの内容や導入メリットについて教えてください。

iYell 取締役執行役員 小林紀雄氏

「いえーる ダンドリ」は、住宅事業者向けの住宅ローン業務効率化サービスです。
住宅購入者によって、最適な住宅ローンは異なりますが、どれが最適かを判断することは簡単ではなく労力も掛かります。このため、多くの場合、ハウスメーカーや工務店などの住宅営業マンが、住宅購入者に代わって住宅ローン選びを行いますが、その負担は大きい。私たちの調査によると、住宅営業マンの業務のうち、住宅ローン関連のものは25%にも及ぶことが分かっています。

ここにきて負担はさらに増しています。ネット系の住宅ローン事業者が出てきたことから、今や住宅ローン商品はだいたい700種類くらいあり、かなり多様化しています。加えて、金利競争が激化し、これ以上下げられないような超低金利の状況ですので、住宅ローン会社は差別化のために、住宅ローンとセットで契約する団信(団体信用生命保険)の種類も増やしています。

その中で、住宅営業マンが全ての商品の特徴を把握し、それぞれの住宅購入者に合わせて住宅ローンを提案することは難しいと言えるでしょう。提案できる商品はだいたいが4〜5種類、多くても10種類くらいだと思いますが、これでは住宅購入者のニーズに充分に応えることはできません。
そこで、住宅営業マンの住宅ローン関連業務を代行するサービスが「いえーる ダンドリ」です。これまでの代行業務のデータも活用しながら、提携している金融機関135社の中から最適な住宅ローンの提案を行います。住宅購入者と住宅営業マンが専用のアプリをスマートフォンなどにダウンロードしておけば、やり取りはアプリのチャット機能を使って行うことができます。働き方改革やDXが叫ばれる現在、ここの業務を効率化したいと考える住宅事業者のニーズは高まっており、2500社以上で導入されています。

──「いえーる ダンドリ」では、最適な住宅ローン選びだけでなく、住宅ローン手続きの管理もサポートしていますね。

「いえーる ダンドリ」では、住宅ローン手続きの一括管理機能を拡充させており、スマートフォンアプリで、住宅営業マン・住宅購入者・弊社の三者間でチャットできる機能や、住宅購入までのタスクを見える化するタスク・スケジュール管理を用意しています。

最適な住宅ローンをお選びいただいた後には、入金などの手続きが必要になりますが、意外とこの入金手続きがスムーズにいっておらず課題と思われている住宅事業者の声を多く聞きます。

住宅事業者と住宅購入者で、住宅購入の契約が成立してからも、プラン変更などで追加費用が発生し、住宅ローンの金額が変わることも多くあります。その都度、住宅営業マンは住宅購入者、金融機関とやりとりを行わないといけないのですが、営業マンとしてはどうしても新規契約をとるための業務を優先し、住宅ローン関連の業務を後回しにしがちであるというのが実情です。しかし、契約前だけでなく契約後の営業マンの対応も住宅購入者の満足度に非常に関わることですので、本来は疎かにしてはいけないはずです。

「いえーる ダンドリ」を導入すれば、契約後の面倒なやりとりも私たちが代行しますので、ここでも営業マンの負担を軽減できますし、住宅購入者の満足度の向上も図ることができますので、まさに一石二鳥と言えるのではないでしょうか。

「いえーる ダンドリ」のサービスのイメージ
「いえーる ダンドリ」のアプリ画面

──今後の展望を教えてください。

弊社では資金調達を加速させています。「いえーる ダンドリ」をはじめとした弊社のサービスに興味関心を持っていただき、11月には十六銀行、肥後銀行、宮崎銀行といった全国の地方銀行(ファンドからの出資を含む)や、日鉄興和不動産、三菱地所などの大手不動産会社を引受先とした20社から第三者割当増資と融資(予定を含む)による資金調達を実施し、累計調達額は約41億円になりました。

今後は、調達した資金を元手に事業の拡大を図っていきたいと考えています。
既に2500社以上に「いえーる ダンドリ」を導入いただいていますが、事業エリアの拡大を図ることで、さらなる導入事業者の増加を目指します。現在展開している首都圏と近畿圏だけでなく、全国でサービスを提供できる体制を構築していきたいと考えています。

また、サービス内容の拡充も図っていきます。今後、「いえーる ダンドリ」は住宅ローン業務の効率化を図るだけではなく、住宅購入後の暮らしをサポートする、”住生活サポートサービス”を目指します。

住宅ローン関連業務の代行を通じ、住宅購入者に関する多くのデータを得ることができますので、そのデータを活用し様々なサービスを提供していきたいと考えています。例えば、それぞれの家庭のライフステージに合わせて、住宅ローンの借り換え提案もできるでしょう。日本では、借り換えは年間8万件程度しか行われておらず、まだまだこれから開拓の余地がありますので、弊社からプッシュして市場を開拓していきたいと考えています。

また、リフォームが必要な時期に、最適なローンも合わせたリフォーム提案を行うことも考えられます。もちろん、リフォーム自体は弊社からは提供できないので、「いえーる ダンドリ」を導入いただいている住宅事業者などと連携して取り組むことを想定しています。連携していだいた住宅事業者にとっても、OB顧客を対象にしたストック事業の拡大と満足度の向上が期待でき、メリットのあるものになるのではないかと思っています。

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