ツーバイフォー工法に国産スギ材を活用 FJ加工で長さ問題をクリア、量産に成功

木材市場がツーバイフォー材の加工販売事業に参入

林業生産と建築における木材利用とを連携させる上で調整しなければならないことのひとつに材料の長さがある。立木を伐り倒し、丸太に切り分ける際にどのくらいの長さで切るかは、その後の製材品としての利用に大きく関わる。通常は、柱用なら3m、梁桁や土台などの横物や下地材用なら4mというのが国産材丸太の一般的な長さの規格になっていて、特段調整の必要はない。

国産スギ材を利用したツーバイフォー製材品

ところがその規格に当てはまらない長さが求められる場合は調整が難しく、その用途に材料を供すること自体が敬遠されることになる。ツーバイフォー工法(枠組み壁工法)のスタッド(縦使いの部材)がまさにその例で、従来は国産材が利用されることはほとんどなかった。その課題をクリアし、国産スギ材のツーバイフォー製材品のマーケットを開拓した例を今回は紹介する。

事業を展開しているのは、佐賀県伊万里市に本拠を置く大手国産材流通業者の㈱伊万里木材市場(林雅文社長)である。同社の国産材原木(丸太)販売ビジネスは伊万里の本社のほかに福岡、大分、鹿児島に拠点を有し、年間取扱量は60万㎥(2019年度実績)に及ぶ。その同社が2015年に山佐木材㈱(鹿児島県肝付町)と鹿児島県木材協同組合連合会との共同出資により、㈱さつまファインウッド(鹿児島県霧島市、林雅文社長)を設立し、スギツーバイフォー材の加工販売に乗り出したのである。

スタッドの長さが原木の規格に合わない

北米の主力木造工法であるツーバイフォー工法は、日本では1974年に技術基準が告示されて自由に建てられるようになった。同工法による年間の住宅着工戸数は11万〜12万戸程度で推移(2019年度実績は約10万7000戸)しており、累計の着工戸数も300万戸を突破している。


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