2020.11.17

野村不動産が国産木材の利用を推進

分譲マンションの共用棟などに活用

野村不動産は、今後建設する集合住宅で、国産木材を積極的に活用する。独立した共用棟の構造材やラウンジなどの内装に原則、国産木材を使う方針だ。野村不動産グループでは、これまでも生物多様性保全と資源の持続可能な利用に配慮するという観点から「国産・FSC認証木材使用促進」として木材を活用。今回、集合住宅に積極的に国産木材を使うことで、ストレス軽減など木の効用にも着目しながら活用を推進する。

同社は分譲マンション「プラウド」を首都圏・関西圏を中心に展開。同社は、プラウドが追い求める価値として①安心と安全②機能性と心地良さ③時と共に深まるデザイン④環境と未来への対応⑤豊かな暮らしへのエスコート――の5つを掲げている。今回、国産木材を積極的に活用することによって、②の「機能性と心地良さ」と⑤の「環境と未来への対応」を実現する考えだ。

近年、木の効用に関する研究が進んでいる。例えば、木の匂いや触り心地によるストレス軽減効果や、視覚刺激による血圧、心拍などの生理面での効果があるという。また、木から生み出されるリラックス効果により、睡眠の質が向上し、日中の知的生産性の向上が確認されている。こうした点に着目し、木の活用を進める。
マンション共用棟での国産木材の活用は、2018年に竣工した「プラウドシティ伊丹」(兵庫県)や20年に竣工した「プライドシティ吉祥寺」(東京都)などで既に実績がある。今後、建設する共用棟については「原則、木造として、積極的に国産木材の活用を図る」(同社)。具体的には独立した共用棟を設置する場合は、建物の構造やラウンジ、キッズルーム、ライブラリーなどの内装に「原則国産木材を使って建設する方針」(同社)という。

現在、販売中の「飛鳥山レジデンス」では国産木材を使用。今後販売を計画する「プラウド練間中村橋マークス」や「(仮称)若潮ハイツ建替計画」でも木造共用棟の建設を予定している。

また、独立した共用棟が設置できない中小規模の集合住宅では、共用部の壁、床などの内装や、建具、家具などに国産木材を使う考えだ。

同社は共用棟以外でも国産木材の活用を既に始めている。現在販売中の「プラウド神田駿河台」(14階建て、総戸数36戸)には、建物を構成する構造部材として鹿児島県産スギや山梨県産アカマツなどの国産木材を活用。中層階に(2~11階)にはLVL(単板積層材)と鉄筋コンクリート造耐震壁を組み合わせた「LVLハイブリッド耐震壁」を、高層階(12~14階)にはCLT(直交集成板)を使った「CLT耐震壁」、耐火集成材「熱エンウッドⓇ」を使っている。
同社が原則国産木材を使って集合住宅の共用棟を建設するとしたことで、他のデベロッパーの今後の動きにも注目が集まる。

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特集:

災害広域化に備え、求められる数、速さ、居住性

近年、大規模な自然災害が相次いでいる。平成22年度から令和元年度までで半壊以上の住家被害が1000戸以上の災害は東日本大震災をはじめ13災害に上る。令和2年も熊本県などに大きな被害をもたらした「令和2年7月豪雨」が発生。死者・行方不明者80人超、家屋被害は全半壊だけで6000戸に及んだ。今年は新型コロナウイルス感染症という、これまでにない問題も発生し、これまで以上に避難生活から仮設期の暮らしへのスピーディーな移行が求められる。

応急仮設住宅は、「建設型」での対応が行われていたが、災害被害の拡大にともなってより多くの住宅が必要になったことで「みなし仮設」とよばれる「賃貸型」が導入、その活用が広がった。そして、今、注目を集めているのがトレーラーハウスやムービングハウスなどの移動式仮設住宅だ。

今後、南海トラフや首都直下などの大地震による想像を絶するほど大規模な家屋被害も予想される。それだけに仮設期の住宅供給をどうするのかを平時の今から考えなければならない。移動式仮設住宅は、プレハブや木造などの仮設住宅、民間住宅などを借り上げる「みなし住宅」に次ぐ3つ目の柱になるのか――。移動式仮設住宅の可能性を探った。

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