インタビュー |  2020.7.15

目指すのは「ベタークオリティ・バリュープライス」 大手ハウスメーカーの市場とのギャップを埋める

タカマツハウス 代表取締役社長 藤原元彦

髙松コンストラクショングループで新たに木造戸建て事業を担うタカマツハウスが本格始動した。経営幹部には、元積水ハウス常務執行役員の藤原元彦社長をはじめとして大手ハウスメーカーの元幹部クラスなどが名を連ねる。若い頃からエース営業マンとして名をはせた藤原社長は、どのような戦略を展開しようとしているのか──。

タカマツハウス 代表取締役社長 藤原元彦

──タカマツハウス設立の経緯を教えてください。

もともと、創業家で髙松コンストラクショングループの名誉会長である髙松孝之が住宅事業に関心があり、いずれは髙松建設グループ、青木あすなろ建設グループに次ぐ第3の柱として、住宅事業を立ち上げたいと考えていました。

こうした中、足元の住宅マーケットを見てみると、大手ハウスメーカーが国内の住宅事業で苦戦する一方で、木造戸建分譲住宅を手掛けるパワービルダーなどの新興勢力が業績を伸ばしています。今後、国内の新築市場が縮小していくことは間違いないでしょうが、戦略次第では住宅事業を伸ばしていく余地があることを示しています。

そこで、髙松コンストラクショングループでも木造戸建分譲住宅に可能性を見出し、事業の立ち上げに向けM&Aを行うことで準備を進めてきました。2年前、主に東京城南エリアで不動産売買仲介を手掛けるミブコーポレーションを買収し、続いて昨年に横浜エリアで木造住宅の設計・施工を手掛けるタツミプランニングもグループ化しました。

──そこへ、住宅事業に関する経験豊富な藤原社長が呼ばれたということですか。

まず、私に与えられたミッションは住宅事業の組織作りです。ミブコーポレーション、タツミプランニング、タカマツハウスの3社がいかにシナジーを発揮し、髙松コンストラクショングループとして住宅事業を行っていくかを検討しました。そして、タカマツハウスとミブコーポレーションが分譲用地を仕入れ、タツミプランニングが住宅を設計・施工し、タカマツハウスが販売するというかたちで取り組んでいくこととしました。もちろん、ミブコーポレーションがタカマツハウスを介さずに土地の売買を行うこともありますし、タツミプランニングでもこれまで通り独自に住宅を販売していきます。それぞれの企業が独自の事業を展開しつつも、タカマツハウスの住宅事業においてシナジーを最大化していくつもりです。

3社を一つの会社にしなかった理由は、ミブコーポレーションとタツミプランニングは各々のブランドと商圏を持ち、地域に根ざした営業活動を行っているので、それぞれの持ち味を生かした方が良いだろうとの判断からです。

──タカマツハウスでは、どのような住宅を提案していくお考えですか?

まず基本的には、首都圏、とくに城南、城北、城西、横浜といったエリアを中心として戸建の分譲住宅事業を手掛けていきます。

注文住宅ではなく、分譲住宅に特化する理由のひとつは、それほど経験がない営業スタッフでも提案しやすいからです。まだまだスタートしたばかりの会社なので、営業スタッフの提案スキルもこれから向上していくでしょう。そのため、まずは分譲住宅からスタートしようと考えたのです。

そのうえで、30代・40代のボリュームゾーンをターゲットに「ベタークオリティ・バリュープライス」を実現する戸建分譲住宅を「ミラクラス」のブランドで提案していきます。

「ベタークオリティ・バリュープライス」の家づくりについて想いを語る藤原社長

昨今、注文住宅に主軸を置いた大手ハウスメーカーは受注が減少傾向にあります。その大きな要因は単価が高くなり、ボリュームゾーンの一次取得者層がなかなか買えない水準になってきているためです。

ライフスタイルや価値観は多様化しており、車や食事、旅行、教育など、お金を掛けるものが様々ある中で、住宅の購入費に大きなお金を割く人は減っています。

加えて、若い方々の所得水準も低下する傾向にある。それなのに大手ハウスメーカーの住宅価格は年々上昇していく。ここにギャップが生まれているのではないでしょうか。

こうした時代の中では価格を抑えた住宅が一層求められます。このため、まずは「バリュープライス」を実現していきます。地域などにもよりますが、だいたい平均坪単価は60万円くらいを考えています。

一方で、安かろう悪かろうの、大量生産・大量販売の住宅は住む人の幸せづくりには繋がらないため売りたくはありません。そのような想いで、価格は抑えながらも構造や性能といった品質を担保し、資産価値が下がらない「ベタークオリティ」の住宅を提案します。長期優良住宅認定を取得し、耐震・維持管理・省エネ・劣化・温熱などの性能は最高等級を目指します。特にこうしたベタークオリティの住宅づくりという点で、私の大手ハウスメーカーでのキャリアを生かせるのではないかと考えています。

さらに言うと、将来的には街づくりまで考えた、資産価値が下がらない分譲住宅を提供していきたいです。

タカマツハウスと同社の住宅ブランド「ミラクラス」のロゴ

──今後の展望を教えてください。

売上高は、今後3年で100億円くらい、10年で500億円を目指します。棟数は3年で180棟ぐらいを目標に掲げています。

店舗は既に城南、城西、城北、横浜に4拠点を設置し、営業マン23名を配属しており、今後は浦和や川崎などの周辺エリアにも店舗を拡大していければと考えています。さらに、将来的には全国展開もと夢は大きく持っていますが、まずは人を集めて育てることからですね。

──一方で、新型コロナウイルス感染症の影響が日本の経済に影を落としています。この点についてはどのようにお考えですか。

新型コロナウイルスの影響は逆にチャンスにもできると話す藤原社長

住宅マーケットでも新型コロナウイルス感染症の影響が懸念されるところですが、今の状況は逆にチャンスにもできると考えています。条件のよい土地を過度な競争なく取得できる可能性が高まるからです。

現状では、第一弾として横浜に土地を購入しており、これから建物を建てて販売していく予定です。このほか、同じく横浜と東京都内でも9箇所で計15棟を仕込んでいるところで、今後も土地の仕入れに力を入れ、事業を拡大していく考えです。

これからもマイホームが欲しいという方々は必ずいます。こうした方々に、手が届く価格の良質な住宅を提供していく。そのことこそがタカマツハウスに課せられた使命だと肝に銘じて、住宅事業を髙松コンストラクショングループの第三の柱へと1歩ずつ育てていきます。

(聞き手=中山紀文)

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