注文住宅で購入価格が上昇に転じる 前年度から600万円以上の増加
国土交通省 2019年度 住宅市場動向調査
注文住宅の購入価格が上昇していることが、国土交通省の2019年度「住宅市場動向調査」で分かった。これまでの低下傾向に歯止めがかかり、前年度から600万円以上増加した。
国土交通省は2019年度「住宅市場動向調査」の結果を公表した。同調査は、2018年度中に住み替え.建て替え.リフォームを行った世帯を対象として、注文住宅、分譲住宅、既存(中古)住宅、民間賃貸住宅、リフォーム住宅の別に、住み替え.建て替え前後の住宅、世帯の状況、住宅取得等の資金調達の状況などについて調査を行ったもの。なお、注文住宅、既存(中古)住宅については全国を、分譲住宅、民間賃貸住宅、リフォーム住宅については三大都市圏を対象としている。
三大都市圏の住宅購入価格・年収倍率
購入価格は注文住宅で増加
年収倍率は総じて上昇
三大都市圏の住宅購入価格は分譲マンションで前年度から120万円減の4457万円、中古マンションで同73万円減の2746万円、注文住宅で同667万円増の5085万円、分譲戸建住宅で同82万円減の3851万円、中古戸建住宅で同229万円減の2585万円となった。
総じて横ばい.微減となるなか、注文住宅は前年度までの減少傾向から一転、今年度は上昇に転じ、前年度から600万円以上上昇した。
また、年収倍率については、分譲マンションで前年度から0.14ポイント増の5.59倍、中古マンションで同0.02ポイント増の3.96倍、注文住宅で0.84ポイント増の6.51倍、分譲戸建住宅で0.27ポイント増の5.6倍、中古戸建住宅で0.6ポイント減の3.59倍となった。
総じて上昇傾向にあるが、中でも注文住宅は住宅購入価格と同様に大きく高まった。
住宅選択の理由
分譲マンションの立地重視に陰り
10ポイント下げる
調査では、分譲マンション.中古マンション.注文住宅.分譲戸建住宅.中古戸建住宅の取得者と、賃貸住宅の居住者に対し、現在住んでいる住宅を選択した理由も、複数回答可で聞いている。
新築では、注文住宅で「信頼できるメーカーだったから」(49.4%)、分譲戸建住宅で「一戸建てだから」(56.2%)、分譲マンションで「住宅の立地環境がよかったから」(61.3%)がトップとなった。
分譲マンションについては「住宅の立地環境がよかったから」が依然としてトップであるものの、前年度調査の72.3%から10ポイント以上下げた。立地環境の良い分譲マンションで近年価格が高止まりし購入しづらくなっていることも影響していそうだ。
一方、中古住宅については、「価格が適切だったから」がトップとなった。また、賃貸住宅でも、「家賃が適切だったから」がトップとなり、中古住宅と賃貸住宅では金銭面を特に重視する傾向が見られる。
住宅を購入・賃貸する際に決め手となった要素
注文住宅で高気密・高断熱
災害対策のニーズ高まる
三大都市圏において、住宅を購入.賃貸する際に決め手となった要素については、注文住宅を除く住宅種別(分譲戸建住宅、分譲マンション、中古戸建住宅、中古マンション、民間賃貸住宅)で、「間取り.部屋数が適当だったから」「住宅の広さが十分だから」が、トップ2を占めた。
一方で、注文住宅を見てみると、「高気密.高断熱住宅だから」(64.5%)と「火災.地震.水害などへの安全性が高いから」(54.0%)がトップ2となっている。
4年前の調査から前者は9.1ポイント、後者は6.1ポイント増加しており、注文住宅では高気密.高断熱と災害対策に対するニーズが高まっていることが伺える。
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