2020.4.1

次期建設リサイクル推進計画で提言

中長期的にはリサイクルの「質」の向上へ

建設リサイクル推進施策検討小委員会は、「次期建設リサイクル推進計画に係る提言」を取りまとめた。リサイクル発展・成長期から維持・安定期に入り、中長期的にはリサイクルの「質」の向上が重要になると指摘。リサイクル後の利用のされ方も見据え、新規で「再生資源利用率」などの目標指標を検討すべきとしている。


建設廃棄物が大半を占める建設副産物の搬出量は、調査を開始した1995年度時点で約9900万トン、2005年度時点で約7700万トン、2018年度時点で約7400万トンまで減少している。そのリサイクル率は、1990年代は約60%だったが、2018年度に約97%まで上昇し、先進諸国のリサイクル率と比較しても遜色のないレベルに達している。現場における建設発生土の利用も進んでいる。2000年度時点では建設発生土利用率は約61%と低水準であったが、2018年度時点で約89%まで増加している。

こうした状況を踏まえ、同委員会は「1990年代から2000年代のリサイクル発展・成長期から、維持・安定期に入り、今後は、リサイクルの『質』の向上が重要な視点になる」と指摘した。

その上で、建設リサイクル全般の主要課題に対して中長期的に取り組むべき施策として、「建設副産物の高い再資源化率の維持等、循環型社会形成へのさらなる貢献」を挙げた。

建設系産業廃棄物の処理工場。リサイクル比率は高まってきているが、今後は、リサイクル後の利用のされ方まで見据えた取り組みが求められている

循環型社会の形成に向け、従来の廃棄側の目標指標だけでなく、リサイクル後の利用のされ方にも目を向けていく必要があると指摘。これまでの排出側の指標による施策の進捗管理を見直し、利用側の指標として新たに「再生資源利用率」の目標指標化を検討することを提言した。

また、今後、高度経済成長期に整備された社会資本が老朽化し、維持管理・更新費が増大していくことが想定される。さらに、良質な社会資本を整備し、その長寿命化を図っていくことは、建設リサイクルの観点からみても発生抑制につながることから、「社会資本の維持管理更新時代到来等への対応」という視点も持ちつつ、中長期的な施策を実施すべきとした。

加えて、「建設リサイクル分野における生産性向上に資する対応等」も必要と指摘する。ICT技術の活用などにより、モニタリングの効率化や建設副産物に係るトレーサビリティを確保する取り組みを実施することで、効率的な建設リサイクルを目指し、生産性向上に取り組んでいくべきと提言した。