住宅 |  2020.2.25

住宅の浸水対策で官民の取り組みが加速

中小河川のハザードマップや浸水予測など

水害による住宅への浸水対策で官民による取り組みが加速している。これまで対策が遅れていた中小河川でもハザードマップの策定を目指す動きや、新たな浸水予測システムの構築に向けた開発が進められており、取り組みが本格化してきた。

国総研・河川研究部 水害研究室の板垣修室長はできるだけ早く「リアルタイム浸水予測システムの実用化を図りたい」と話す

今年1月、国土交通省は「社会資本整備審議会河川分科会気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会」の第2回を開催。住宅・まちづくりでの浸水リスク対策の検討が行われた。検討会で示された対策の大枠は浸水リスクのない地域への住宅の移転と、浸水エリアにある住宅での対策。後者については、宅地のかさ上げ、住宅のピロティ化(高床式化)、止水板の設置、家屋の耐水化、水害保険の加入などを推進するといった案が示された。

また、国土交通省は同月、「中小河川の水害リスク評価に関する技術検討会」を新たに設置、取り組みが進んでいない中小河川のハザードマップ策定に向けた議論を開始した。国が管理する大規模な河川の流域については、ハザードマップの策定が進み浸水リスク情報が提供されているが、自治体の管理する中小河川ではハザードマップの策定が遅れている。しかし、近年の水害では、中小河川での氾濫による被害が発生し問題となっていることから、国土交通省は中小河川流域エリアでの浸水リスク情報を提供するハザードマップの策定を進めていきたい考えだ。検討会では簡易な手法で水害リスクを評価できる手法の検討を行い、自治体でも負担感なく中小河川のハザードマップを策定できる環境整備を進める。

一方で、大型台風が来て自宅への浸水の可能性が高まる中、避難所に避難するべきか否かを判断する必要がある。その判断のサポートになる浸水予測システムの開発も進められている。

国土技術政策総合研究所は「リアルタイム浸水予測システム」の開発を急ぐ。同システムでは、従来対象だった大河川だけでなく中小河川も対象とし、25mメッシュの範囲で10分毎に1時間先までの河川水位及び浸水深を予測する。近年中には社会実装したい考えだ。

また、早稲田大学も一般の人でも分かりやすく、精度も高い浸水予測システム「S︲uiPS(スイプス)」(東京23区が対象)を開発中だ。スマートフォンでアクセスできるようにし、冠水した時の避難経路を探れるようにする。今年の東京オリンピック・パラリンピックまでには本格運用を目指している。

国総研と早稲田大学が開発中の浸水予測システムについては、住宅・不動産事業でも活用できそうだ。例えば、マンションなどで生活サービスのひとつとしてシステムの導入を図り居住者への情報提供を行うことで、付加価値になるだろう。