どうする? スギ大径材問題 大きく育った木を有効に利用したい(下)

大径材になれば生産効率が高まる

最近、皆伐再造林を推進しようという論調が林業界で強まっている。背景には人工林の資源事情があり、40~60年生の利用期に達した林分が増えているのに、若い林分が極端に少なくなっていて(図1)、林齢構成を平準化させるために植え替えを進めようというものだ。そして、大径材のニーズが低いことも皆伐再造林が必要な理由のひとつに挙げられている。これ以上、林齢を重ねて木が太くなっても高くは売れない、だから植え替えて若い木を育てようというのである。

ただし、これには異論もある。スギの場合、ヒノキやカラマツに比べて強度が低いことが難点だとされることが多いが、林齢が高くなると材としての強度が高くなる傾向がある。しかも、林業の生産性を考えた場合、当たり前のことだが、立木1本を伐採した際の収穫量は、大木になるほど大きくなる。立木1本の材積(幹材積)は50年生程度だと0.3~0.4平方メートル程度だが、100年生になれば1平方メートルくらいにまでなる。大木になると伐採作業もより高度な技術が求められるが、それでも1本を伐採した時の収穫量が3倍程度になるというのは大きい。

さらに、前回述べたように大径材の木取りは簡単ではないわけだが、それも大径材の製材に適した機械を開発し、大径材を利用した魅力的な商品が生み出されれば問題は解決する。いずれも簡単なことではないが、それでも木が使えるまでに育つのには数十年かそれ以上の年月が必要なことを考えると、技術開発や商品開発に多少の時間をかけても、きちんとした成果さえ得られれば十分にお釣りがくる。

図1 人工林の齢級別面積構成

土木・包用材としては根強い需要

スギの大径材が増加している中で、メーカー側も手をこまねいているわけではなく、さまざまな利用の動きがある。大径材の用途として、もともと根強くあるのが土木・梱包用材としての利用である。土留め用の矢板や梱包用の板材、パレット用材などは、建築用製材品のような品質精度は求められない。そのため、目合いを気にせずにさまざまなサイズの製材品を挽くことができるし、製品によっては、多少の丸み(丸太の外周部分の丸みが残っていること)も許容されるので、大径材を利用しやすい。


この記事は会員限定記事です。
無料会員になると続きをお読みいただけます。

アカウントをお持ちの方

ご登録いただいた文字列と異なったパスワードが連続で入力された場合、一定時間ログインやご登録の操作ができなくなります。時間をおいて再度お試しください。