設備 |  2020.1.22

パナソニック ライフソリューションズ社 電材事業をモノ売りから空間提案にシフト

海外も強化、30年に全売上の半分に

パナソニック ライフソリューションズ社は、中期の事業戦略を発表した。国内は基幹事業である電材事業をモノ売りから空間提案にシフト。加えて、海外を成長ドライバーにして売上拡大を図る。


パナソニック ライフソリューションズ社(LS社)は今年7月に社長を交代、前副社長の道浦正治氏が新社長に就任した。今回、新体制のもとで新たな中期の事業戦略を発表。売上高を2019年度の1兆6000億円から2021年度までに1兆7000億円に拡大、営業利益率も5.7%から7%まで引き上げる方針を示した。

そのための施策として、基幹事業の国内電材事業は成長が見込める非住宅のリフォーム事業を強化する。これまでは新築・ビルの大規模改修を主に手掛けてきたが、今後は改修サイクルの短いテナントのリフォームにも力を入れる。

また、これまでは電材事業では商品の販売を主にした「売り切り型」の提案を行ってきたが、今後は空間の設計やメンテナンス、サービスまで含めてパッケージで提案する「空間ソリューション型」の提案にシフトする。照明器具や防災機器、空調・換気機器などをIoT化するとともに、センサーなども設置することで、空間データをクラウドに蓄積。そのデータを分析し、顧客ごとに最適な空間を提案する。また、IoTを活用することで顧客の変化に応じて空間をアップデートする提案も行う。

他の事業者とオープンイノベーションで取り組んでいきたい考えで、「五感に訴えかけるような空間づくりを目指す。そのためには、他のメーカーとのパートナーシップが重要」と、道浦社長は話す。

LS社の空間ソリューション提案の比率は2018年度が30%だったが、2021年度に35%、2030年度には70%にまで高めていきたい考えだ。そのために、2018年から開発営業という専門の部署も新たに設け、100人単位で取り組みを進めているという。

海外を成長ドライバーに

一方で、電材事業の成長ドライバーと考えているのは、海外市場だ。全売上高に占める海外の比率は2018年度は28%だったが、2021年度には35%、さらに2030年度には半分にまで高める。ISAMEA(インド、南アジア、中東、アフリカ)、東南アジア、中国の3地域への提案を重点的に行う。

ISAMEAはインド、トルコを核に事業を拡大する。この一環として、2021年秋の稼働を目指し、インド南部のスリシティ工業団地に、配線器具、電線、ブレーカなどを製造する工場を新たに建設する。電設資材の工場としては、インド国内で4カ所目の生産拠点となる。投資金額は約46億円。「インドは、経済発展の只中で配線の販売が堅調。年率2桁の成長ができている。今後も市場のキャパシティがあると考え、今回の工場建設に至った」(同)。

東南アジアはベトナム、インドネシア、タイなどで、流通ルートを通じた電材の販売を拡大。また、各国でパートナーを組む現地の不動産デベロッパーへの電材の導入にも力を入れる。水まわりが湿式工法である住宅が多い中、日本の乾式工法の導入を図っていきたい考えだ。

中国については、現地企業とパートナーを組み、健康・養老を付加価値にしたまちづくりなどを進める。中国市場は2019年4月にパナソニックが新たに設立したカンパニー「中国・北東アジア(CNA)社」が中心となって開拓を進めているが、LS社も住宅の技術を提供するなどし、連携して取り組む。

このほか、建築、住宅建材、ソーラー分野は、「共創事業」と位置づけ、他社とパートナーシップを組む事業戦略をとる。

建築事業はトヨタ自動車と設立し、2020年1月から事業の開始を予定している「プライム ライフ テクノロジーズ」を通じて、まちづくり事業で成長を加速する。「パナソニックホームズとはこれまで以上に連携を強化、トヨタホーム、ミサワホームとも協業を進めていきたい」(同)。

住宅建材事業は、収益力の向上を目指す。現在、そのためにテコ入れを進めているところだ。パナソニック独自のマテリアル技術を強みに、他社との共創も図りながら新たな住宅建材の提案に力を入れていく。

「深刻化する施工者不足への対応が必要」(同)とし、他社と共創した施工の工業化の取り組みにも力を入れる。既に住宅主要構造をパネル化した「PSJ」工法や、設備・建材のパッケージ化を行なっているが、今後もこうした取り組みを進めていきたい考えだ。

IoTも活用した空間ソリューション提案、海外売上比率の向上、共創による競争力強化–。LS社の2030年を見据えた中期戦略は、他の住宅事業者にとっても大きなテーマであるだけに、今後の動向への注目度は高い。

2030年に向けたポートフォリオ

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