2020.1.8

国交省、新たな土地施策で中間とりまとめ

所有者不明土地や災害対策など盛り込む

国土交通省は第36回の「国土審議会土地政策分科会企画部会」を開催、社会の変化に対応した新たな土地・不動産施策の中間とりまとめを策定した。所有者不明土地問題や災害対策などの項目を盛り込んだ。


現行の「土地基本法」はバブル期の1989年に施行されたもの。30年が経ち我が国の土地・不動産環境は大きく変化しているため、国は2020年に法改正を行う。

同法改正に向け、国土交通省は2019年7月に有識者検討会を設置し、社会環境の変化を踏まえた新たな土地・不動産施策の方向性を議論してきたが、今回、中間とりまとめを策定した。今後、国は中間とりまとめで示された方向性を踏まえ、土地基本法改正に向けた作業を進める。

第36回の「国土審議会土地政策分科会企画部会」の様子

中間とりまとめで示された今後の土地・不動産施策の方向性の一つが、流通市場に乗りにくい土地の活用促進である。駅から遠いなど利便性の高くない土地は競争力が低く販売価格が低額である。このため、土地の所有者は販売に掛るコストなどが負担となり、積極的に流通市場に出さない傾向にある。しかし、一見、競争力が高くないとみられる土地でも需要がある場合がある。こうしたことから、中間とりまとめでは、例えば税制特例措置を設けるなどし、流通を促す必要性を示した。

一方で、将来的に放置が予想される土地の適切な管理も重要であるとした。地域の低未利用土地の状況把握や将来予測などの情報環境の整備を進め、例えば地域住民の取組の指針づくりを検討する必要性を示した。

土地の所有者が不明な「所有者不明土地問題」への対応も、取り組むべき項目に盛り込んだ。国では所有者不明土地の発生を防止するため、土地の所有権放棄を認める制度の創設などを検討しており、中間取りまとめではこうした取り組みを推進する必要性を説いた。

相次ぐ災害への対応策にも言及し、浸水想定や土地の災害履歴等の災害リスク情報等の整備・公開・活用を推進する必要性を示した。

また、現在は不動産売買時の重要事項説明に、水害リスク情報が義務化されていないが、今後は情報提供を重要事項説明の対象とすることも検討する必要があるとした。

検討会の議論は、2019年度末にとりまとめられる予定。特に、災害対策の観点からの施策については、今後さらに議論を深めていく必要があるとしており、最終取りまとめの内容がどのようなものになるのか、注目が集まりそうだ。

Housing Tribune最新刊

住宅産業総合誌「ハウジング・トリビューン」は隔週金曜日発売。年間購読者には電子版News Report「Housing Tribune Weekly」を配信しています。

ハウジング・トリビューンVol.623(2021年13号)

特集:

2050年へのカウントダウン

PV、ZEH賃貸、100%再エネ街づくりなど2050年までの「脱炭素社会」の実現に向け、社会が大きく動き出そうとしている。
政府は2030年度までに全国で少なくとも100か所の地域で先行して「脱炭素」を達成し、多くの地域で2050年を待たずに「脱炭素」を実現する方針だ。
住宅分野でも省エネ基準適合義務化、ZEH・LCCM住宅の普及拡大、太陽光発電の導入拡大に向けた施策の検討がなされている。
こうした動きを受け、今後、住宅への太陽光発電の導入や、ZEH賃貸、脱炭素まちづくりなどの“住宅脱炭素化マーケット”が本格的に拡大していきそうだ。

目次を見る

関連記事

2021.3.29

国交省 土地基本方針の改定骨子案を公表

相続登記の義務化など反映、5月に見直しへ

2019.10.29

国交省、所有者不明土地で新方針

所有者以外の利活用・管理可能に

2019.8.22

国交省、新たな土地施策の議論を開始

ESG・SDGs投資、所有者不明土地問題を検討