2019.12.20

楽天などが引越し+不用品フリマ出品サービス

7兆円を超える不要品の“価値”に着目

引越しと不要品の出品が同時に申し込めるサービスを楽天など3社が始めた。不要品の推定価値は7兆円規模に上っているという。その中でのフリマアプリ市場はおよそ1割にとどまる。不要品が出やすい「引越し時」に着目し、市場の拡大を図る。


今回、楽天と連携したのは、引越しシェアリングサービス「Hi!MOVE(ハイ!ムーブ)」を運営するGLIDEと宅配型収納サービス「カラエト」を手掛けるトランク。利用者は「Hi!MOVE」で引越しを申し込むと、新たなサービスである「フリマ引越」への申し込みも同時に行うことができる。その後、「カラエト」から送られる専用段ボールに、不要品を詰め、返送すると、「カラエト」が楽天の運営するフリマアプリ「ラクマ」へ出品を代行する仕組みだ。出品代行サイズの上限は140㎝サイズの専用段ボール1箱分まで。

出品商品が売れた場合は、手数料として代行送料( 一律880円)と代行手数料(売上金から代行送料を除いた金額に30%かけたもの)を差し引いた金額が利用者に振り込まれる。「ラクマ」に出品された月から翌月末までの期間中(最大2カ月)は、出品商品の取引がない場合でも費用はかからない。

また、この期間中に取引のなかった商品は「カラエト」に移行。利用者は、1ヵ月無料の収納サービスを受けながら、商品を保管し続けるか自宅に返送を求めるかを選択する。仮に、収納サービスでの保管を選択した場合は、無料期間終了後、月額550円で「カラエト」に商品を預けることができ、いつでも自宅への返送を求めることが可能だ。

経済産業省の電子商取引に関する市場調査によると、過去1年間に不要となった製品の推定価値は7兆6254億円。「ラクマ」や「メルカリ」などのフリマアプリの2018年の市場規模は推定で6392億円あり、この3年間で2倍に増えている。家庭に眠っている不要品の価値が見出される一方で、「出品」、「配送」、「取引」などの手間や不安がフリマアプリの拡大の妨げになっているとの指摘も。GLIDEが実施した調査では、引越し時に不要品を処分した方法として半数以上がゴミ回収と回答している。

引越しと同時にフリマアプリの出品までワンストップで行えるサービスの登場で、不要品に関する取引が今後さらに活発化する可能性もある。楽天ラクマ事業開発シニアマネージャーの土屋信博氏は「7兆円規模の不要品をラクマの経済圏に取組む」と意欲的だ。また、人材不足などを背景に今後引越し代金の高止まりも指摘されている。「不要品を売って、少しでも引越し代の足しになれば」とGLIDE代表取締役の荒木孝博氏は強調する。トランク代表取締役の松﨑早人氏は「収納スペースが狭い、マンション住まいの女性がターゲット」と話す。