2023.5.26

パナソニック ハウジングソリューションズ/三菱商事、スマリサービスを活用した戸建初の宅配ボックス

発送ニーズの高まりを受け “ファーストゼロマイル”を実現

伝票記入などをせず、自宅から商品の発送、返品などが可能な宅配ボックスを発売した。ECが浸透するなか、受け取りだけでなく発送に対する利便性向上のニーズが高まっており“ファーストゼロマイル”を実現する。

簡単操作で自宅から荷物を発送できる
「e-COMBO LIGHT」

パナソニック ハウジングソリューションズは三菱商事と協業し「SMARI(スマリ)サービス」に対応した宅配ボックス「e-COMBO LIGHT」を発売した。

三菱商事が提供する「スマリサービス」は、三菱商事が2019年に開始したサービスで、EC(電子商取引)商品やレンタル商品の発送、返品、返却などについて、伝票の記入などが不要な発送手続きサービス。関東、関西、中京地区のローソン店舗など約3000拠点、提携事業者で利用ができる。同社によるとスマリサービスの利用は月間約50万~60万件に達しているという。

宅配業者の再配達問題が大きな課題となり、宅配ボックスが住まいの必需品と呼べるまでに広がってきた。さらにECが社会的に浸透したことで、居住者側に返品発送やフリマアプリなどによる出品発送という新たなニーズが出てきた。受け取るだけでなく発送する行為にもさらなる利便性が求められてきたのである。

宅配などの物流は、自宅からコンビニなどの宅配の受付までを「ファーストワンマイル」、そこからの配送を「ミドルマイル」、最終的な倉庫から送り先までを「ラストワンマイル」と呼ぶ。これまで宅配問題でクローズアップされてきたのは、このうちの「ラストワンマイル」であり、さまざまな提案がなされている。しかし、「ファーストワンマイル」については、「まだまだ紙の伝票であり、ソリューションが出ていない。ファーストゼロマイルの提案を」(三菱商事 食品流通・物流本部物流開発部 栗原直己マネージャー)とパナソニック ハウジングソリューションズと協業を図った。

戸建住宅の宅配ボックスとして初めて「スマリサービス」に対応した「e-COMBO LIGHT」は、簡単に言えば、既存商品の「COMBO-LIGHT」の錠をテンキーの電子錠とし、二次元コードを貼ったもの。スマホアプリで事前登録しておいたスマリへログイン、宅配ボックスに荷物を入れた後、二次元コードをスマホで読み取り、スマリから送られる暗証番号を設定して施錠するだけ。荷物への伝票などの添付は不要だ。集荷業者に発送物の情報、宅配ボックス、暗証番号が通知され、集荷業者が該当する宅配ボックスから集荷し、伝票を貼り付ける。

両者は今年の2~4月に東京都世田谷区の戸建住宅30世帯で実証実験を行い、発送所要時間が店舗発送の平均22.5分から5.7分と70%削減できることを確認した。さらに荷物を持ち運ぶことが大変なので、自宅発送は利便性が高いといった意見が寄せられたという。EC購入やフリマなどのサービス利用のハードルが下がり、72%がサービス利用の頻度が上がると回答した。

まず首都圏の1都3県からサービスを開始、順次全国へとサービスを広げる計画だ。

発送が可能な宅配ボックスのサービスは存在するが、伝票記入やウェブでの打ち込みなどの手間が不要なこと、また、宅配ボックスそのものが二次元コードの添付という安価にできることなどが同サービスの大きな魅力であり、差別化のポイント。パナソニック ハウジングソリューションズでは3年後に10万台の販売を見込み、「生鮮食品や高齢者向けサービスなど、社会との密接な暮らしボックスへと結び付けていきたい」(外廻りシステム事業部 足立真治事業部長)と、その可能性を広げていく。