2019.12.10

舞鶴市・オムロン・日本交通、地域共生型のMaaSで実証実験

公共交通機関と住民同士の送迎を利用

京都府舞鶴市、オムロン、日本交通は、日本初となる住民同士の送迎とバス・タクシーなどの公共交通機関を組み合わせた地域共生型のMaaS(Mobility as a Service)の実証実験を行う。


MaaSとは、利用者の目的や嗜好に応じて、最適な移動手段をシームレスに提供するサービス。舞鶴市を舞台に、このMaaSの実証実験が2020年4月からスタートする。

舞鶴市では、「便利な田舎暮らし」の実現に向けて、舞鶴版・Society5.0の実現を目指した取り組みを進めている。その一環として、今回、オムロンの子会社であるオムロン ソーシアルソリューションズ(以下、OSS)、日本交通と共同でMaaSの実証実験を行うことになった。

専用アプリ「meemo」で自由に交通手段を選択

実証実験では、OSSが開発したMaaSアプリ「meemo(ミーモ)」を利用し、自由に交通手段を組み合わせて市民が目的地にまで移動できるサービスを提供する。例えば、高齢者が病院に行く際に、このアプリを活用することで、いくつかの移動手段が提示され、利用者はその中から自由に移動手段を選ぶことができる。

「meemo」の大きな特徴は、バスやタクシーといった公共交通機関だけでなく、住民同士の送迎も組み合わせて移動手段を提示する点だ。

高齢者が病院まで行く際に送迎可能な住民とマッチングを行う機能を備えており、住民同士の助け合いによって公共交通機関が埋めることができない“隙間”を補う。

利用者は送迎を依頼する住民にガソリン代などの実費を支払うと同時に、「mee」という感謝のしるしを渡す。送迎を行ったドライバーは「mee」をためることで、市から表彰されたり、感謝状をもらえる仕組みだ。貨幣的な価値ではなく、「地域に貢献したい」という気持ちで送迎の対価を支払うことで、経済的な価値以外の部分で地域を豊かにしていくことを目指す。

送迎を行うドライバーについては、当初、利用者の評価を見える化することで、安全性を担保することを検討したが、自治体が認定したコミュニティリーダーを中心にしてドライバーの登録を促していく。「地域社会で人を評価することは難しい」という意見を踏まえて、評価を見える化する手法は現実的ではないと判断した。

また、コミュニティリーダーを中心とすることで、既に存在する地縁やコミュニティの信用で助けあいの輪を広げていきたい考えだ。

全てをデジタルのなかで完結するのではなく、田舎ならではの地縁などを活用しながらSociety5.0を具体化する取り組みは、今後の街づくりのひとつの方向性を示すことになりそうだ。

左から日本交通の澤志郎社長、舞鶴市の多々見良三市町、オムロン ソーシアルソリューションズの細井俊夫社長
住民同士の送迎の仕組み