積水ハウス、男性の育児参加は企業経営にもプラス
イクメン休業運用から1年、フォーラム開催
3歳未満の子どもを持つすべての男性社員に家事育児への参画を促す育児休業制度「イクメン休業」を運用する積水ハウスは、社会全体で男性の育児休業を考えてもらおうとフォーラムを開いた。
フォーラムは同社が制度の運用を始めてから1年を迎えた9月19日に開催。同時に、この日を「育休を考える日」として独自に制定し、社会全体で育休について考えてもらうきっかけづくりの提案も始めた。
同社は、イクメン休業を通じて、子どもが3歳に達する日の前日までに1ヵ月以上の育児休業を取得完了することを推進。休業開始から最初の1ヵ月を有給とし、家庭や業務の調整を図りやすいよう、最大で4分割での取得も可能にする。
円滑な導入ができるよう社内サポート体制を整え、準備期間を経て2019年8月末時点で取得期限を迎えたすべての男性の社員253人が1ヵ月以上の育児休業取得を完了した。同社執行役員 ダイバーシティ推進部長の伊藤みどり氏は「イクメン休業の意義は本人については家族のきずな、職場では働き方改革や助け合い、住宅購入希望者には育児経験を生かした提案力、会社は採用や優秀な社員」と意義を強調する。
この日のフォーラムでは「男性育休は社会を変える」をテーマにパネルディスカッションを開催。企業の働き方改革などを支援するワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵氏は「平成時代は、家庭から仕事への女性の進出はものすごく進んだが、仕事から家庭への男性の進出が全然進まなかった」と指摘した。その上で「仕事も育児も誰にも文句を言わせないという、女性のスーパーウーマン化が進んだ。獅子奮迅で、ゴムがのびきって、もう少しでぱちんと切れそうな、危ない状態である」と男性の育児支援の必要性を訴えた。
さらに、小室氏は人手不足問題への対策や新たなサービス提案など企業経営にも男性の育児休業が大きくかかわるとの見方を示した。これまでに関わってきた企業での育児休業の事例を紹介。150人の規模の新潟県で製造業を営む企業では、男性が育児休業を100%取得しながら、残業がほぼゼロに。浮いた残業代は社員に還元するなど、働き方を変えたことで、この企業では売り上げが上昇する効果をもたらしているという。また、これからは子連れ出勤が増えると見込み、ビルフロアーの真ん中に、共有スペースを設けたことで、賃料を上げても貸室全てが埋まったという事例を紹介した。「育休をとることで、属人化している仕事の見直しや提案力、企画力があがっていく」と小室氏は強調した。
抵抗勢力は支店長!?
積水ハウスの「イクメン休業」はトップの決断で決まったが、多くの企業で導入に対して二の足を踏むのが社内からの理解が得られるかだ。これについて、パネルディスカッションでモデレーターを務めた、NPO法人ファーザーリング・ジャパン ファウンダーの代表理事・安藤哲也氏が「抵抗勢力はどこに」と尋ねると、伊藤氏は「支店長」と当時の状況を明かした。当時、複数の営業店舗で「イクメン休業」の対象社員を抱えていた支店もあり、売り上げへの影響を心配。しかし、この心配は取り越し苦労に。売り上げは前年の2割増に迫ったという。「自分の仕事を他部署と連携したり、業務を引き継いだり、仕事が大きく変わった。職場の雰囲気も変わり、コミュニケーションも円滑になった」と話した。
イクメン力、全国1位は島根県
独自にまとめた白書で実情判明
イクメン力、トップは島根県──。こんな実態が積水ハウスのまとめた「イクメン白書2019」から分かった。2位は沖縄県、3位は鳥取県。「島根県は働いている女性の割合が74.6%と全国1位(H27国勢調査)で、結婚や子育ての時期を迎えても働く女性は多いが、その背景にはイクメンの存在があるのかもしれない」(同社)。
「イクメン力」の指標として、①配偶者評価(夫が行う家事・育児の数、夫はイクメンと思うか)②育休取得日数③家事育児時間④家事育児参加幸福感──の4つの基準を設け、ポイント算出により都道府県ランキングを作成。島根県は「夫が行う家事育児の数」と「夫はイクメンと思うか」、「家事育児時間」の3つで全国トップだった。
白書ではイクメン意識の実態も調査。男性の47.1%が「自分はイクメンだと思う」と回答。女性は50.9%が「夫はイクメンだと思う」と答え、日本の夫婦の半数は「パパはイクメン」と自他共に認識している。
年代別に見ると、最も高いのが20代でイクメン意識は61.3%。年代が上がるとともに低下し50代では34.2%と20代の半分近くまで低下。「昭和世代には定着しなかったイクメンだが、平成世代の子育て参加意識は確実に高まっている」(同社)とみる。
リンク先は各社のサイトです。内容・URLは掲載時のものであり、変更されている場合があります。
内容・URLは掲載時のものであり、変更されている場合があります。
-
マーベックス・アキレス “断熱等級6”の時代の真の差別化ポイントを解説
2024.11.21
-
YKK AP・パラマウント硝子工業・日本住環境・アキレス 断熱気密の施工をプロが解説
2024.11.21
-
JCA・デコス エバーフィールド・久原氏が石川の木造応急仮設住宅について講演
2024.11.12